氷川神社から遠くない場所の事務所に出向くことが多くなった。

氷川神社は、関東一宮。その建設には、奈良時代に朝鮮半島から渡ってきた知識人や技術者が関わっていたとも言われている。東(あずま)の国に、最新の文明がもたらされたのだ。当時の最新の文明は、大陸からもたされたものだ。

私の先輩がその子孫で、奈良時代から続く過去帳を伝えている。確かに、氷川神社に伝わる文書には、その先輩のご先祖様の名前もあるという。生禿が受継いだ過去帳は室町時代からで、この先輩のものに比べると新しい。

現在の人類に繋がるホモ・サピエンスは20万年前にアフリカに現われ、6万年前にアフリカの外に移住し始めたらしい。いわゆる民族なるものの起源は、たかだか6万年前までしか辿れないのだ。6万年というと長いように思われるが、人間の一代を30年とすると2000代でしかない。1年草なら、2000年である。草は2000年でどれだけ進化するか?を考える方がイメージしやすいだろう。亜種ぐらいはできるだろうが、新種が固定されるような時の流れではない。

現在の人類に亜種は存在しない。単一の種なのである(「人種」は科学的には否定される)。その生態にも文明にも異種はない。

人類は遺伝子的に分化(「進化」)するより、後天的に獲得したものも含めて種全体で共有することで「進歩」することを選んだように見える。

勿論、たかだか20万年では「進化しないで進歩する」と結論づけるのは暴論であろう。

だが、氷川神社を見ていると、地球規模で血(遺伝子変異)と知(経験と知識)を共有する種であるホモ・サピエンスの可能性を感じるのである。

大陸から朝鮮半島を経て関東にもたらされた文明の一つの証が氷川神社であることは間違いないようだ。

20090822h

てな想いに耽っていると、
例によって池の亀さんたちが
手足を優雅?に動かして
舞うように泳いでいる。

不規則な波が
ぶつかり合い、重なり、
橋桁の下で
複雑な模様を描く。

100年以上の寿命を持つと言われる亀さんは、
人類の歴史をどう見ているのでしょうか。