年金定期便が送られてきて、年金に空白期間があることに気づいた方も少なくないと思います。当時のことを思い出して、社会保険事務所(所)に行き、事情を説明すると「記録を確認します」と言って、年金相談員が事務所の中に引っ込みます。
この時、何を見ているのかというと、多くの場合は、貴方が提供した情報に基づいて、古い年金の記録(台帳)の画像検索をしているのです。

年金の台帳をデジタル画像化し、ネットワーク検索できるようにすることは、年金記録記録問題が発生後に作業が進められ、現在は、厚年については殆ど完了している筈です。また、国年についても、現在、データベース化が進行しています。(あと、年々かかるか判りませんが)

この年金台帳(原票)の画像検索で、消えた(基礎番と紐付いていなかった手番の)年金が見つかることがあります。厚年の場合は、会社名や住所、当時の会社の同僚の名前などを思い出せば、名前の記載の間違いなどがあっても、ご本人に帰属する年金であることが識別できる可能性があります。

こうして「消えた年金」が見つかると職員も嬉しそうな顔をします。画像情報をもとに、ほんとうに本人のものかどうかを確認する簡単な追加質問をして、最終確認をし、「確かにご記憶に間違いありません」「見つかりました」と伝えます。申請者は「ありがとう御座います」と応じ、相談員は「とんでも御座いません、ご迷惑をお掛けしました」「思い出して頂いてありがとう御座いました・・・」と和やかな会話が続きます。

現在の所の職員が一番嬉しい時です。「これで孫にクリスマスのプレゼントを買ってあげられる」と嬉しそうなお婆ちゃん。職員は「見つかった分のお支払いは○の分は来月に、□の分は3ヶ月後に・・・」などの事務的な説明を続けますが、孫の喜ぶ顔を思い浮かべているお婆ちゃんは聞いてはいません。ですから、職員は支払予定などをメモ書きにしてお渡しします。そして、お互いに嬉しそうに挨拶をして相談が終了します。

台帳の画像化は、消えた年金を復活する決め手になる情報の一つです。

実は、生禿はこの台帳の画像化に関わる仕事をしています。二千の台帳を画像化するたびに迷子の年金が一件見つかるのだと思い込んで(ただの思い込みですが)画像データを作成しています。その時のお爺ちゃんやお婆ちゃんの嬉しそうな顔を思い浮かべながら作業をしています。作業的にはちょっと単調で、残業と休日出勤が多く肉体的には辛いものがありますが、後ろ向きではあっても、老後を安心して過ごすためのお役に立つ仕事だと思えば疲れも消えます(ることはないけれどネ)。