「鉄のライオン」 重松 清 2011年 光文社文庫
女房が、早稲田の後輩が書いた本だから?貸してくれた本です。
軽ーい短編小説集です。♪カルビーのポテトチップス♪のように。
「黄昏のイエロー・サブマリン」から
駅前から、錆びついたモノレールの線路が延びている。駅とドリームランドを結ぶモノレールなのだという。
「赤字で配線になっちゃったのか?」
「だといいんですけれど・・・・・・ほんとは、もっと間抜けな事情なんです」
開業して間もなく、設計ミスが明らかになった。線路の強度が足りなかったのだ。
「モノレールの重さには耐えられるんです。でも、お客さんが乗っちゃうと、もうアウトなんですよ」
設計の段階で、車両の重さしか計算に入れず、乗客の重さを考えていなかった。
凄い話ですよね。これって確か実話だった筈。この話、切ない。ひたすら切ない。
「人生で大事なものはホイチョイに教わった」から
「幸せっていうのは『自分の満足』で計るもんじゃないんだ」
「幸せは『他人のうらやましさ』で決まるんだ」
すさまじい本音である。
その通り!この残酷な正直さが軽薄で可愛い。
生禿の口癖だが、ビジネスマンの成功は『貴方のようになりたい』って、何人に言われたか/思われているか計ることができる。この尺度も、或る意味残酷だ。他人の憧れは成功の証としては確かだが、それで人間の価値が決まる訳でも無い。それでも、これ以外に無い!っていうぐらい現実感のあるモノサシです。だから残酷なのです。