発注管理は、技能的には、発注点と発注量の決定であり、そのベースには、販売計画と在庫管理があります。

アパレル商品の場合、中国生産を前提とすれば、「試し織り・染め」の準備から始まり、生地などの材料手当て、縫製やパッケージなどの生産と輸送で、3か月のリードタイムが必要になります。リードタイムを1ヶ月半に短縮するために、ベネトンのように売れ筋の定番商品の素材は事前に準備することも考えられますが、少なくとも「余ったらどうするか」についての『覚悟』が必要です。

従って、発注はどうしても需要期の5〜4ヶ月前になります。新製品発表会などで、(発注前に)先行予約をして下さる取引先はごく一部ですから、遠い未来に対する見込生産にならざるを得ません。一方で、一部ではありますが、自らのリスクで独自の品揃え行うべく、先行予約に積極的に取り組む小売業も存在します。

半年先を予測することは困難です。また、大手の小売などの仕入は、ランダムな事象とは見做せない、個別の事情による意思決定ですから、「予測」ではなくて「見通し」になります。しかも、大手小売業は、他社の商品も出揃ってから検討し、ギリギリまで発注しよとはしません。「予測」にしても「見通し」にしても、最近の気象と同様に不安定なものになります。

最近の「販売予測」は、精度上げるために「予測しない」ことを目指しています。とは言え、ランダム事象と見做せる最終消費者の購買と、有意な行為である大手小売業の仕入を区分し、前者のみを対象として予測を行って『予測精度』を上げ、後者については、個別の見通しの振り返りを通じて『見通し感度』を向上させることが可能です。

リードタイムを短縮する仕組、先行予約を取る工夫、予測と見通しの精度を高める体系、売れ筋と売り筋の販売の体制、… そして、最後の関門は、発注管理のベースとなる在庫管理です。全ての業務を高度化する経営のあり方が問われています。