「ビジネスを作る仕事」 小林啓幸 2013年 講談社現代文庫

 通勤の暇潰しとして、とても面白くて、乗り越したほど面白い!百円なら大儲けでした。以下はこの本の要約と引用です。


《はじめに》

 新しいビジネスを作る視点と方法を説明する。

基礎編

《1. ビジネスをつくる喜び》

*筆者は、以下のご自身の経験された二つの事例を紹介されています。

・臨海副都心パレットタウン大観覧車
商社の事業型ビジネス型の走り
金融不況のさなかの1998年に着工

・ライフネット生命保険
独立系の生命保険会社を設立
2008年営業開始
特約なし掛け捨てのみのシンプルな死亡保険を3割安い保険料で提供する

《2. 姿勢 − よく見て、どこでもやる》

 よく見て本気で試みると経験値が増える

・広く見て、真ん中をやる

 社会の動きを理解し、世の中のどこが真ん中かを見当をつけ、普通にやる。どの業界でも独自の視点や習慣がある。なんとも非合理なものがある。社会全体で見ると真ん中にある事業をやる。

・普通の人をちゃんとやる
 「とらばーゆ」などを立ち上げた倉田学氏の言葉「新規事業を立ち上げる人は、普通の人をちゃんとやる」。

・現実を深く見抜いて、大きくやる
現場で実際にやってくれる人を味方にする
誰かが失敗した事業の隣にいい事業が転がっている
 ― 敗因を分析すれば、失敗の隣に成功がある

・斜めに見て、真っ直ぐやる
既存の分野に拘らずに、共通点を見出す(斜めに見る)
見出した新しい事業機会を真っ直ぐに取組む
成功の隣に成功は無い だから、少し離れたところで事業を探す

・優しく見て、きっちりやる
人の気持ちを汲み取り、その気持ちに沿うように、自分に厳しく事業を作っていく
「社員が楽しければ、」売上が増え利益が生み出される」ZOZOTOWN創業者前澤友作

《3. 手順 − 育ち方を見る》

事業をつくる
・新しい事業を見つける
・計画を立て、資金を調達し、人材を集め、始める
・組織を作り、実行し継続する

 「幸運は準備おできた者に味方する」パスツール

 社会の嫌な面を見たら、目を背けるのではなく調べる。社会の歪みは。事業の種である。

・事業理念は単純であるほど良い
単純であるほど、資金提供者の支持を取り付けやすい
単純であるほど、社員の士気が上がり、状況に合わせて自ら動ける

・事業理念を歪めて起業しない

・具体の目的と欲望を満たすための企画書を書く

応用編

《4. 機会を見て、偶然を取り込む》

 新規事業は不果実性が高く、偶然が作用しやすい。

・偶然を取り込む
計画された偶発性
風が吹いてきた時に、帆を広げる それまで待つ
多様な事象が利する偶然の創発の可能性を広げる
決め打ちは避ける 「選択と集中」は崩壊の戦略
将来役立ちそうなものに時間を使い投資をする

・損失を最小化して、いろいろ試してみる
「勇敢な者ほど先に死ぬ」ダイエー創業者中内功

・失敗しても大きな痛手を受けないようにする
悪い事態が起こっても、さらに悪い事態に進むのを食い止める方法を準備する

《5. お金 − お金の流れを見て位置取りする》

 ビジネスモデルは、お金の流れでもある。日頃からビジネスモデルを見ておくと、事業機会を捕らえることができる。お金の流れにおいて、ディズニーランドと神社仏閣は似ている。本殿とシンデレラ城、そして参道のお土産屋さん。集客と集金の構造が同じ。いいビジネスは、集客と集金がうまく組み合わさっている。

 事業は、規模の大小(桁の違い)によって、別の事業になる。成功例の規模を縮小した事業は成功しない。

 市場選挙率40%以下の企業の売上と利益は、業界規模の伸縮に依存しない。規模が大きい起業家小さい企業の収益性が良い場合が多い。

 川上の部品と川下の小売の利益率の高い業界も多い。但し、全ての業界に該当しない。業界のお金の流れを見て、どの位置に入るのかを決める。

 継続の利益は、学習効果ではなく、利益が得られる。セコム、ベネッセ、ダスキンなどは、継続(リテンション)による利益を得ている。一度契約すれば長い期間、お客様でいてくれる。

 損益計算書を作り、それに基づいて貸借対照表、キャッシュフロー計算書を作る。資金繰表は、資金不足で倒産しないように作成する。資金需要のピークに備える。

《6. お客 − お客を見て、価値を提供する》

 お客に提供する価値は何か。価格に見合う価値を提供しているか。

 ソニーは、インターネットの普及を見て、音楽をネットで配信する時代が来ると見越して準備をしていた。優れた技術を準備をしていたソニーは、iPODに敗北した。技術に勝って事業に負ける。事業の作り方に関心を向けるべきだった。ヤマト運輸や楽天は、普通の技術で、独自のビジネスモデル(事業構造)を構築した。

 ランニングが流行る訳。走れる距離が伸びる。時間が短くなる。継続的に成長実感を味わえる。級や段が上がっていくお茶やお花の家元制度は、成長実感を味わう仕組みである。ワインは、ソムリエを頂点として、それを昇る成長実感を与えることで成長した。ツイッターやフェイスブックは、フォロワーの数を増やす-自慢することで増殖した。

 1995年、マールボロのブランドイメージの若返りを命じられたブランドマネージャー。都内で一番売れている下北沢の自販機を特定し、どういう時刻にどういう人が買っていくのか、観察を続けた。買ったお客様の後をつけて、どういう飲み屋に行き、どういう買い物をするのか、飲み屋に入って話しかけもした。お客様の気持ちになりきって、ブランドのイメージを共感した。若者がサーフィンをしているCMに替えた。売上が伸びた。

 消費者をよく見て、消費者が言葉で表現していない要求(ニーズ)を探り当て、新しい事業を作っていく。

実践編

《7. 人 − 人を見て組織を動かす》

 外に対する交渉力は、内部での統率力に比例する。メーカーの営業マンであれば、信頼を得ている工場に無理を通せるほど、契約をたくさん取ってくる。

 株価が上がらないと、経営陣は新規事業に目が向いていく。

 創業者が社長の会社は、トップセールスが有効。ボトムアップで意思決定をする会社に、トップセールスをしても現場の反感を買うだけ。内部昇進で経営陣となるサラリーマン会社の意思決定は集団で行われている。その会社の本業に関する事項は、ボトムアップ。人事や財務などはトップダウンであることが多い。食品メーカーの流通や価格は、担当部署のボトムアップで決まる。

 会社の成功体験と失敗体験を知り、それをどう認識しているかを知る。

 創造は、安心と自由の中から育つ。新しい事業を作るには、笑いのある組織が相応しい。

 器の大きさとは、自分ならしないことをする他人を肯定的に理解すること。まず、自分ならこうするという答えを持つ。別の人の方法が、失敗しても挽回できるか見極める。失敗したらその人が大きく傷つきそうなら、助言する。どれだけ許容できるかは、自分の力量次第になる。

 叱るときは、人前で叱らない、愛情を込めて叱る。成功していない人には才能を褒め、成功している人には努力を褒める。

 「レンガを積んで堀を作れ」というより、「教会を建てるので、堀を作ってください」とお願いしたほうが働く人の士気は上がる。人間は自発的な心を持っている。

 期待しすぎず、諦めす、長く気持ちを続けるのが大切。温和で勉強熱心な人が成功する。

《8. 時 − 時代を見て、時代を超える》

 グーグルは、検索という集客装置と、検索連動広告という集金装置を持っている。フェイスブックもmixiも、収益化の方法で苦しんでいる。

 事実を事実のまま並べる。その「配置(コンステレーション)」を虚心坦懐に眺めて、全体の意味を汲み出す(気づく)。

 社会との対話では、「物語(ストーリー)」が有効。メディアは一方的に情報を伝え、ソーシャルとは言わない。双方向の交流により、人を満足させる。その成果をネットの道具を使ってマスに広げる。

 多くの企業のソーシャルは、最初からマスへのアピールを意識しすぎている。コミュニティの深い交流を持たねばならない。書店員による手書きPOPもソーシャル。