女房と芸大の弥勒展を観に行きました。前に見たものもあるのですが、我ら夫婦と縁のある展示物もあるので、それらは何度見ても飽きることはありません。

20210926IXYS029柱頭
 戦車に乗る太陽神を表した柱頭(パキスタン-ガンダーラ/2〜3世紀)。戦車を索く4頭の馬は日の出に東の空に駆け上がる様を表しています。

20210926IXYS031弥勒菩薩坐像
 弥勒菩薩坐像(2〜3世紀/パキスタン-ガンダーラ)。平山郁夫シルクロード博物館所蔵の仏像。

20210926IXYS033弥勒菩薩
 弥勒菩薩立像(3〜4世紀/パキスタン-ガンダーラ)。ガンダーラの仏像は、ギリシャ彫刻の流れを汲んでいて、インドや中国のものとすぐに区別がつきますね。

20210926IXYS035弥勒菩薩
 弥勒菩薩坐像(4〜5世紀/パキスタン-ガンダーラ)。これも平山郁夫シルクロード博物館所蔵の仏像。今年は、平山先生の13回忌。もうそんなになるんですね。

20210926IXYS037弥勒菩薩
 弥勒菩薩立像(2〜3世紀/パキスタン-ガンダーラ)。三日月をつけた弥勒。太陽神と関係づけられた仏陀を継ぐ未来仏として、夜に輝く月、復活再生を象徴する三日月と関係づけられました。

 ガンダーラの北西に進むと現在のアフガニスタン。クシャーン朝の影響で生まれた、両肩から焔を噴き上げた仏像でも有名です。

20210926IXYS040弥勒菩薩
 弥勒菩薩坐像(2〜3世紀/パキスタン-ガンダーラ)。バラモン階級の大家に生まれた弥勒は、バラモンのように頭頂に水瓶(カマンダル)を持ちます。

20210926IXYS042
 バーミヤン東大仏のミニチュア模型。ここに天井壁画「天翔ける太陽神」がありました。今回は写真は撮りませんでしたが、何度見ても感激です。

 女房の話では、爆破された莫高窟の仏像の破片は、ドイツの研究者が収集して保管庫に格納してあったのですが、今年になってタリバン(だろうと思われる)が、この倉庫を破壊して破片を持ち出し、パキスタンの古美術商に売り払っていることが確認されているそうです。偶像崇拝を否定するモスレムにとっては無価値、というより有害なものである仏像。けれども「遺物はお金になる」ことを覚えてしまったので、彼らの資金源の一つになっています。

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 バーミヤンE窟仏龕(模型|芸大制作)。クローン技術を確立した芸大の宮迫先生の姿も作り込まれています。芸大での先生の位置づけが窺える資料でもあります。

20210926IXYS048青の弥勒.JPG
 バーミヤンE窟仏龕の壁画は「青の弥勒」は、2001年に破壊されました。再現はフォトグラメトリ技術を用いて3Dデータを作成し、壁画表面はアフガニスタン流出文化財を参考にオリジナルに近い質感を再現しています。

20210926IXYS052敦煌莫高屈.JPG
 弥勒菩薩交脚像(再現|5世紀/敦煌莫高屈)。交客の仏は弥勒菩薩で、ず〜と未来に人間を救ってくれるそうです。これも何度も観ています。女房が敦煌に行ったとき、今は観光客では入れないこの莫高窟で、研究者として特別許可を貰って写真を撮ってきたので、それと見比べると「再現」の意味がよく分かって面白いかったのを思い出しました。

20210926IXYS055室生寺 20210926IXYS057東大寺
 弥勒菩薩(復元|室生寺/平安時代)。弥勒菩薩立像(東大寺中性院/12世紀)。芸大生の卒業制作です。凄いな〜。これだけのものを作れるなんて。立派な仏師ですよ。

20210926IXYS059金堂壁画
 法隆寺金堂壁画「弥勒説法図」(想定復元)。最初にお披露目した芸大の展覧会では、金堂壁画全てが展示されていましたが、今回は2点だけの展示でした。

 救いの仏といえば弥勒。今にふさわしいテーマでした。それに私たち夫婦にとっては、懐かしい展示でもありました。