「はじめての催眠術」 漆原正貴 2020年 講談社現代新書
読んだことのない分野の本だったので、面白い知見があるかと思い手に取った … 取らなきゃよかったと後悔させられた本。珍しい!どんな本にでも「反面教師」とかでも「役に立つ」何かはあるものですが。この本には全く無いわけでは無いのですが、読むべき内容が少なすぎる。私は「つまらない」本でも、一応は全部を読み通すのを習慣にしているのですが、この本は半分しか読まなかった。 以下はこの本の「読めた」部分の要約です。

■ はじめに
暗示の強力さを知っていると「人の見ている世界は、思い込みによって変化する」と理解できます。
催眠とはつまるところ、コミュケーションの技法です。
■ 催眠とは何か
古代のエジプトやギリシャの儀式や医療で「手をかざして痛みを弱める」などの記述が見られます。
外科手術に催眠が使用され、手術の成功率を高めましたがが、ジエチルエーテルやクロロホルムなど薬品を用いた麻酔の技術が確立され、催眠の存在感は低下していきます。
福来友吉は1906年に「催眠心理学」を刊行。彼は超能力に興味を持ち、御船千鶴子や長尾郁子や高橋貞子の透視や念写を肯定しました。他の研究者による実験では再現性は確認されず、東京帝国大学を追放されます。
催眠へのかかりやすさを「催眠感受性」や「被暗示性」と呼びます。
身体の動きに対する暗示は反応率が高く、知覚の変化を伴うような暗示は反応率が低い傾向があります。
■ 催眠を行う前に
ラポール(信頼関係)と威光暗示。威光暗示は、集団相手の時に重要。
・ラポール形成のポイント
危害を加えない意思の表明
目を見て話す(見つめない)
相手に触れない
・威光暗示
肩書
外見
自信をもって振舞い、大きな声で抑揚をつけて話す
■ 催眠を使いこなす
・ミルトン・エリクソンの「現代催眠」
被検者がどのような反応を示しても、それを肯定し利用する<利用アプローチ>。
許容される<間接暗示>。「腕が重くなるかもしれません」。
当たり前のことを伝える。「あなたの足は床についています」。
否定されない「許容語」で、肯定反応を引き起こす。「腕がいつ重くなるかはわかりませんが」と、前提のように語ることで、前提を飲み込ませてしまう。「右手の方が重く感じますか、左手の方が重く感じますか」と、固定させたいことを前提にする二択の質問<ダブルバインド>。
自らの内側の感覚に注意を向けさせる。
・ヨハネス・ハインリヒ・シュルツの自己訓練法
外界からの刺激を断つ
気持ちを落ち着いている(自己暗示)
楽に呼吸する(目を閉じて深呼吸)
お腹が温かい(自己暗示)