「はじめての企業価値評価」 砂川伸幸・笠原真人 2014年 日経文庫

 たまにはこういう領域も読まなきゃ…と思ったのですが、やっぱり好きになれません。真っ当な商売人が関わるべき領域ではないような気がします。なので必要不可欠な最小限のところだけ拾い読みしました。 以下はその要約と引用です。


■ 企業価値評価の考え方

 投資家から見た企業価値評価(バリュエーション)では、企業が長期的に安定したキャッシュを生み出す力を評価します。

 企業価値は、割引キャッシュフロー法(DCF法)で評価します。継続企業の将来のフリー・キャッシュフローが、長期のキャッシュフローに該当します。

 フリーキャッシュフロー(FCF)は、事業活動からフリーなキャッシュ。FCFを資本コストで割り引いたものが、企業価値評価になります。

 FCF=税引後営業利益+減価償却費−設備投資−正味運転資本(NWC)増加額

 事業目標として、資本利益率=総資産利益率(ROA)や自己資産利益率(ROE)を重視します。

 国債利回りを、リスクフリー・レートとします。投資家は企業に対してリスクフリー・レートを上回るリターンを期待します。上回る部分をリスクプレミアムと言います。

 持続できる成長は、利用可能な資源を用いて、企業が持続できる成長です。
 サスティナブル成長率=再投資収益率(ROE)×内部留保率

 毎期の期待FCFを資本コストで割り引いた値の総和が、現在の評価額(PV)になります。

 長期的には、企業の株式価値はROEと株式資本コストの関係で決まる。

 総合商社は、仲介から事業投資に転地しました。現在の商社は、資源開発から物流や小売りにいたるまで、多くの事業に投資しています。低利益率と高回転率の領域から、高利益率と低回転率の領域に転地しました。

 M&Aが発表された後、売手企業の株価は上がり、買手企業の株価は下がる傾向があります。買手が割高な価格で買収を行い、M&AのNPVがマイナスになっていることを示します。

■ 企業価値評価のキーワード

 加重平均資本コスト(WACC)
 =負債比率×負債コスト×(1−法人税率)
  +株式比率×株式の資本コスト

■ 株式価値評価の基礎

 企業価値EV=FCF(リターン)/WACC(リスク)

 外部の人間が行うと予想。企業が行うと計画/目標になります。

■ 企業価値評価の検証

 エンタープライズDCF法は、将来の収益(インカム)をベースとするインカムアプローチに属します。

 資本主義経済においては、資本コストを上回る資本利益率を上げることが重要です。資本利益率が資本コストを上回るとき、再投資のNPV(正味現在価値)はプラスになります。プラスのNPVを稼ぐ投資機会があれば、利益を再投資するべきです。

 価値を生み出すのは事業です。企業価値評価は、キャッシュを評価するのではなく、事業を評価します。