wikiによれば、「はやぶさ2」は、小惑星探査機「はやぶさ」の後継機としてJAXAで開発が進められている小惑星探査機と小惑星探査プロジェクト名。C型小惑星1999-JU3への着陸およびサンプルリターンが計画され、2014年にH-IIAロケットで打ち上げられ、2018年に1999-JU3に到着、2020年に地球へ帰還する予定になっています。

サンプル採取方式は「タッチ・アンド・ゴー｣方式で、事前に衝突体を突入させて直径数メートルのクレーターを作ることによって深部の試料を採取します。

計画は2010年から2012年の打ち上げを目標に検討が進められたが、JAXA全体でプロジェクトを積極的に推進するとの意思統一はなされず、計画は遅々として進まなかった。これは、情報収集衛星計画やISSのきぼうの打ち上げ、運用、物資補給などの負担も従来の予算内で行っており、予算の都合から太陽系探査は後回しにされる現状も示している。

はやぶさ2に関する開発費は国民世論の大きな盛り上がりもあり、宇宙開発委員会による一連の審査により「JAXAが早急に行うべきミッション」との判定を得て、2007年6月にはプリプロジェクトとなった。 しかし、既存の計画の間に後から入ることとなったため予算上の制約は大きく、その後の進捗は思うようには進まなかった。

しかし、2010年6月13日にはやぶさが帰還し、翌14日にはカプセル回収にも成功すると、菅内閣の閣僚からは偉業として絶賛する発言が相次ぎ、2011年度の予算では増額を検討する意向も示された。

一方で、はやぶさ後継機に予算が付かないのは政権の問題ではなく、JAXAの組織内部の問題のため開発が順調に進んでいないことが原因と言われている。


成功したプロジェクトの後継は大変でしょう。まず、成功して当たり前と思われているのが、何よりも辛いところですよね。期待され注目を集めているプロジェクトだから予算が付きやすいなど、物事が進みやすい一方で、政治的な思惑や、前プロジェクトの前例、成功者である先輩の助言なども含め、様々なノイズがあることも確かでしょう。

技芸の伝承は必要ですが、成功した事例の伝承には独特の歪みがあります。教える側に謙虚さがなく、教わる側に率直さや真摯さが失われるならば、プロジェクトは最初から失敗の種を内包してしまいます。

宇宙科学研究の世界を超えた社会的影響を与えてしまった「はやぶさ」は、後継の「はやぶさ２」を純粋な科学研究プロジェクト以上のものにしてしまいます。

「はやぶさ」が関心を集めたのは科学研究プロジェクトとして成立した後のこと。ですが、「はやぶさ２」はプロジェクトが始まる前から、社会的な注目を集めるという重荷を背負っています。

組織の問題もプロジェクトに重く圧(の)し掛かっているようです。JAXA内部の旧宇宙研路線の排除が進めば、「はやぶさ」的な成功は望むべくもありません。

マニュアルに記述できない水準の、経験と感性による知恵(勘)に基づく職人芸が宇宙研の身上であり、その技芸はインド風に言えばウパニシャッドです。
＊ウパニシャッドの意味は「そばに座る」で、サイドバイサイド(ＳbyＳ)による伝承によってしか伝えられないものとその伝承を指します

これは日本の「改善」でも同様です。欧米の「カイゼン」がマニュアルで共有できる水準のものであるのに対して、日本の「改善」は継承はウパニシャッドです。

ウパニシャッドを非科学的と考えているならば、その科学は「知識」の水準に留まった浅いものだと言わざるを得ません。神経科学で言えば、側頭葉どまりの表層的なもので、大脳辺縁系〜扁桃体に到る脳深部の「知恵」に至っていないのです。

JAXAは、知恵の伝承と発展を科学する体系を創造するか、宇宙研的な技芸を引き継ぐか、二つに一つの選択を迫られています。（生禿的には、知恵の科学を体系化して欲しいものですが）。そうでなければ、薄っぺらいマニュアル主義が、プロジェクトの成功の可能性をゼロとするでしょう。

そして、今のところJAXAという組織の葛藤は可能性ゼロを確定しようとしているとしか見えません。「回帰せよ はやぶさのＳ-by-Ｓに」