在庫管理の精度を上げるのは、受発注業務の精度を上げるためです。受発注管理とは、「売り損ねと売れ残りを最小化」する技術です。これなしには、SPAは成立しません。

在庫管理では、帳棚が実棚と合っていることなど、それ自体が最終目的ではありません。受発注で、在庫が「見えていない」状態では「何をどうすることもできない」から、在庫の可視化が不可欠なのです。何時でも誰でも何処でも在庫が「見える」と、あらゆる業務の不合理が減少していきます。

発注(意志決定)点の自動検出は、発注するかしないかを考える時機を逃さないためのものです。

創業社長が牽引してきた会社では、社長以外のスタッフが、合理的に発注意思決定を行い得る手順が確立されていれば、会社の規模は拡大し、そうでなければ小規模なままに留まります。これは生禿の経験則ですが、多くの会社に当てはまるような気がします。扱う商品が拡大すれば、商品開発の進行と発注管理の実務に社長が忙殺されます。なんでも自分でやろうとするリーダーに率いられた組織は、発展の機会を掴むことができなくなります。

社長が発注権限を移譲するには、合理的に自動化された手順が必要です。「もう無理」は分かっていても「誰よりも俺の方が」と思っているですから、人間よりも優れた仕組みが無ければなりません。

発注点検出を自動化することにより、業務を担当するスタッフの定期監視の負荷を軽減すると同時に、「抜け漏れ」を無くすことができます。機械化の最大の利点は、監視能力の高さです。

<業務手順>
1.合理的な判定基準で発注の意思決定をすべきタイミングを自動検出する
2.商品特性と販路別の販売動向を見つめて発注するか、終売にするかを決定する
  決定結果を登録し、二度手間を省き、勘違いを無くす
3.製品領域と当該SKU、関連SKUの販売動向を見て販売を予測する
  (店頭などでの代替誘導の可能性も含めて発注量を決定)

<発注点の判定基準>
最近8週の出荷数量から、今後の出荷数量を予測する
 − 出荷予想数量=[リードタイムの出荷量+安全在庫水準]の算出
現在予定されている所有予定数量[在庫数量+発注残]を計測する
出荷予想数量と所有予定数量を比較する
出荷予想数量の方が大ければ発注点に到達しているものと判定する