「マーケティング用語辞典」 和田充夫・日本マーケティング協会編 2005年 日経文庫

マーケティング協会が、日本を代表するマーケティング学者だろうと思われる学者を集めて編集した風の辞典です。大学の講義で用語で迷った時のために参考にしている本です。コトラーの「市場戦略論」を読んだ時に参照して、読んでみました。

読んでみてビックリしました。日本にはマーケティングが実在しないことを事実として確認しました。それにしても、もうちょっとマシなマーケティング学者は日本に居ないのでしょうか?マーケティングに関しては、日経文庫も当にはならないようです。

驚くべき事実として、例えば、この辞典には「ターゲット」の項目がありません。STPは、マーケティングの基本中の基本。これが無ければ“マーケティング”とは言えないことは言うまでもありません。

そして、マーケティングが商品企画から販売促進までの業務の連携と統合を行う枠組みを示す「マーケティング・コンセプト」もこの辞典にはありません。消費需要創造や顧客関係管理は代表的なマーケティング・コンセプトですが、これらの基本的な位置づけは説明されません。それでは、マーケティングについて『何も語っていない』ことは明らかです。

コトラーの「市場戦略論」で採り上げられていた「デ・マーケティング」もありません。低能力が故に品切れを頻発する日本メーカーにとっては、デ・マーケティングは『必須科目』の筈ですが・・・、日本のマーケティング学者の水準では手に負えないのでしょうネ。


文句なしの基本の基礎の項目で気になった項目を引用してみます。

○ マーケティング・マネジメント
標的市場(ターゲット)とマーケティング・ミックス諸要素間の適合させる計画を策定する

○ GTIN
商品コード標準
ヨーロッパのEANと米国のUCCが合併してGSIとなった
GTINは14桁だが、既存の13桁コードもそのまま使える

○ JANコード
国コード2桁+メーカーコード5桁+アイテムコード5桁+CD1桁 計13桁
2007年よりGTINに移行

○ VMI
Vendor Managed Inventory
取引先による小売業の在庫管理

○ サードパーティ・マーチャンダイザー
ラック・ジョバー
小売店頭における販売促進、陳列、在庫補充などの店内作業や、店頭情報収集・情報提供業務を支援・代行する業者

○ サービス・エンカウンター
サービス提供者の管理下において、顧客がサービス出会う場面。
顧客がサービス提供者と接し、相互作用しながらサービスを経験している場面を指す。

○コンテクスト
コミュニケーションが行われている状況(文脈)

○サービス・プロフィット・チェーン
従業員満足、顧客満足、利益の連鎖関係

○ 自我関与型商品
自己イメージを象徴する製品
自我強化型商品 名声商品、成熟商品
自我防衛型商品 地位商品、不安商品(身だしなみを整える商品など)

○ 自己表現的便益
ブランドが顧客に、自己イメージを伝達する方法を提供する便益
ブランド・パーソナリティの形成による

○ ロジット・モデル
価格・広告・店内販促などの変数に対する消費者の反応が把握できる
選択確率が簡潔に表現され、扱いが簡単なことから、スキャンパネルデータの整備に伴って頻繁に適されるようになった

○ リーセンシー
広告接触の効果的なタイミングに関する考え方
J・P・ジョーンズはシングル・データソース(ホームスキャン・パネルデータ)を用いた研究から、購買行動に最も近いタイミングでの広告接触が効果的であることを示した