「MBAの経営」 バージニア・オブライエン 2003年 日経ビジネス文庫
経営とかマーケティングとかに全く不慣れな薬学部の学生にマーケティングを教えるための参考に読んでいます。講義に使える逸話を解り易い言い方で紹介されているので参考になります。ありがとう御座いました。
○ リーダーシップ
経営トップの主な任務は、目的を設定し、社員を導いていくこと。
マネジメントの第一の機能は、組織を日程と予算に従って動かすことだ。マネジメントの役割は、組織の恒常性(ホメオスタシス)を保ち、目標を達成できるように組織を管理することにある。
蜘蛛巣構造の組織では、情報はあらゆる方向に流れていく。同時に、蜘蛛巣の中心にいれば、蜘蛛の巣内の無数のノードと直接情報をやり取りできる。
『聞く、ひたすら聞く、さらに聞く』。積極的に聞くことは、マネジメント技法の中でも最も重要なもののひとつである。聞こうとする態度は、部下に対する権限移譲である。
「有能なリーダーは、リーダーシップは責任であると考える」「彼らは同僚や部下の成長を促し、手助けをするが、彼らの失敗に対しては自分で責任を持つ」ピーター・ドラッカー
行動は言葉よりも雄弁だ。マネジャーは自分の主張の実例なのである。その行動は、その主張と合致していなければならない。
○ 企業文化
時代を超越した経営原理は、数字に踊らされているのではなく、基本となる価値観と企業の存在意義を指導原理として成り立っている。ビジネスは経済の利害を超越している。
ビジョンがあってもそれを実現する手段がなければ実績には結びつかない。3Mは社内の研究者に対し、会社の為になると思えるアイディアの研究に勤務時間の15%を使うことを認めている。
企業文化が強固だと、社員には「会社の規範に従わなければ」というプレッシャーがかかる。ノードストロームの社員には、適切な顧客サービスを判断する自由が与えられているが、実際には、強固な習慣が存在して、販売担当者の行動を誘導している。
社員が「主体性をもって行動し、ミスを犯しても懲罰の不安は無い」と実感できてこそ、真の権限移譲である。そのような企業では、マネジャーはコーチの役割を果たす。
○ 取引の関係と業務の過程の管理
機能横断型のチームの目的は「完全な価値プロセスを担えるような構造を形成する」。前線のマネジャーに意思決定を行うに必要な情報・財源・技術・知識、そして権限が与えられている。
プロセス全体を管理し、設計・生産・流通の流れの最適化を目指す。
経営陣が「参加型の環境」を標榜しながらも、意思決定プロセスが上位下達で行われれば、チームは失敗する。リーダーが支配権を手放さないと、「責任を上司に預けてしまいがちになる」。
チームがオープンなコミュニケーションができなくなると、チームの失敗は決まったようなものだ。沈黙を守っていれば、厄介な問題を引き受けることもなくなる。
製品の売買を超えた「売り手と買い手の関係」を発展させるには、知識ベースのサービス方式が必要とされる。
マネジャー自ら顧客に関わっていけば、企業も変っていく。「顧客の立場で一日を過ごす」べきだ。
○ マーケティング
マーケティングは、全ての業務を結びつける
システム全体の価値のプロセスを管理する
マーケティングは価値を規定し、開発し、顧客に伝える
カイゼンは、継続する改良と試行錯誤に基づく統合された接近法
仕事場を作る → 空間の共有は協調を高める
誰にも手伝って貰えない持ち帰り禁止の仕事の山を、崩していくのは疲れますネ。ご苦労様です。
日本の組織は基本的に、「責任逃れの体系」なので、弱い立場の人間が辛い目に遭います。そういう組織は成長しないので、今の日本の経済状況のように停滞します。
若ければ、そういう組織から脱出することを考えるのでしょうが、年を取るとそのまま・・・ですね。