私は10年ほど前、かかりつけの医者から、このままヘビースモーカーを続けると、また肺が破裂しますよ!と脅されたことがあります。何しろ自然気胸を2回もやって、一日50本の煙草を止めない強者でした。「ドクターストップがかかってから吸う煙草の味が本当の煙草の味だ」なんて嘯いていました。

 ですが、気胸は気絶するほどの壮絶な痛さ。あれをもう一度経験するのか・・・と案の結果、煙草を止めました。それでも、「十年後に気胸が再発」が、ず〜っと引っかかっていました。

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 先日、ちょっと肉体労働しました。その後に胸の局所的な痛みを覚えたのです。通常なら、ただの筋肉痛とやり過ごせるのでしょうが、例の医者に言われてちょうど10年目なんです。ひょっとすると・・・と思ってしまったのです。私は肺炎も経験しているので、全体な痛み=肺炎、局部の痛み=気胸という図式が頭の中に出来上がってしまっているようです(後になって考えれば)。

 温覚や圧覚と違い、痛覚の回路の半分は感情回路です。思い込みで「気胸の時の兆しの痛み」に似た痛みに偽装するぐらいは造作もないことです。知識として知っていても、知識を役に立てる余裕を失ってしまうのが弱い人間の悲しさです。

 朝一番に病院に飛び込んで、さっそく検査。レントゲンとCTを撮りました。結果は「筋肉痛ですね〜」。お医者さんと二人で笑ってしまいました。

 お医者さんに「煙草を止めて良かったですね」「肺は綺麗なもんです。これならもう気胸になる心配もないと思いますよ」という嬉しいお言葉を頂きました。

 もう爺さんなので、体調が悪くなったらこまめにお医者さんに行くことにします。笑い話で済めば幸運なのですから。