最近、カスタマージャーニー=お客様の購買過程の分析が流行っています。本来の意味でお客様と面と向かわないデジタル系で、購買を最大化すれば、その事業や商品は潰れるのは自明。だから少しは反省して、恒久の購買動機の形成や、使用過程の満足にまで踏み込もうとしているようですが … デジタルの世界では「買いたい気持ち」と「また使いたい気持ち」を捉えるのは、とても難しいようです。

 「昔は良かった」という心算はありませんが、個人情報法保護法以前に、私を含めてID-POSレジ以前にID-POSを「発明していた」人々(日本国内にも実にたくさんいたんです)は、購買履歴と情報行動、それらから識別された個人にインタビューして、縦横無尽に分析して「買いたい気持ち」を掘り当てていました。そして、恒久の購買動機を形成する過程に沿った情報は発信を実現していました。その時代に比べると、現在の水準は見るも無残なものです。

 かつて、MH社に招聘されて「買いたい気持ち研究所(PPL)」が立ち上がり、恒久の購買動機=3回以上継続購買に誘導するコミュニケーション作りの面白さに浸りきっていたのは、もう10年前の話です。統合されるデータには、当時増えていた店頭カメラの映像分析も含まれていて、購買起点の情報行動の分析も深みを増していました。個人情報保護法が施行されても、昔のよしみもあり、今よりはお都合されたデータを使って分析し、データの所有元の了解を貰って、心理面接などを行うことができました。

 個人情報保護の運用が異常に堅苦しい現在の日本国内では、世界標準の購買-情報行動履歴の分析はできません。

 PPLに参加していたスタッフの何人かが、KM社に移籍して「購買から逆算する分析」を行っていますが、かつての水準には遥かに及びません。彼らにはそれなりにノウハウを伝えた筈なのに … 寂しい限りです。また、OC社のネットでの購買への行動履歴の分析をみても、それは「分析」と言えるようなものではなく「集計」に留まっています。何をそう見るかの「目の付け処」が無いからなのです。視座さえしっかりしていれば、分析手法なんて探せます。困ったものです。

 来年70歳になえう私にも「やるべきこと」はありそうですし、やってみたいと思います。

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 ベランダ前の紅葉は、色が深くなってきました。枯れてなおかつ華。私も今一度咲いてみたいものです。