情報処理推進機構(IPA)の量子コンピューティング技術シンポジウム2021に参加しました

 全体の印象は「日本は遅れている」「基礎研究は優れているが応用で負ける」「日本の研究者は目先のことしか考えられない状態にある」。そういうことが再確認されました。悲しい!でも希望はあります。絞り込んだテーマで、かつ世界に与えるインパクトの大きい分野に集中すれば、日本の技術力を活かせる。そういうところでは一致しているようです。

 以下はこのシンポジウムの内容をぎゅっと要約したものです。


《スケールフリーネットワークで起こすQX》東芝 島田太郎氏

・スケールフリーネットワーク
 人間の世界は不平等にできている
 例:友達にたくさんいる人と友達が少ない人

・QX(クオンタム・トランスフォーメーション)
 ECは20%を超えず、実世界と繋がるには「フィジカルtoサイバー」の連携が必要
 東芝テック社のスマートレシート
 アプリをダウンロードして、レジの電子レシートをスマホに飛ばす
 2021年度10万店舗を目標にしている

《IPAが支援した研究開発》

・量子アニーリングマシンを用いた大規模都市での信号制御(トヨタ中央研究所)
・物流センターでの従業員の最適配置(住友商事)
・リチウムの不安定性を解消する材料開発(三菱ケミカル)
・Grover・seachのアルゴリズムの評価(ソニー)
 重ね合わせの技術を用いて一気のに検索する
 量子データベース検索のアルゴリズムを再構築した
・アニーリング・クラウドマシン(日立製作所)
 「離散で二次」の理解を広めて実用性を高める
・量子人材のオンライン育成(慶応大学)
 慶応大学のサイト「MOOC」でも日本人の利用が少ない
 量子プログラミングコンテスト(IBMと共催)でもインド人の参加者が多い
・量子デベロッパーコミニティ(IBM)
 新川崎に量子コンピュータを設置
 127量子ビットを開発

《シンポジウム:カーボンニュートラルへの量子コンピューティング技術の応用》

・全球温度の上昇を2℃に抑える
 → 2050年にカーボンニュートラルが必要
・日本における今後の課題=電力系統形成
 発電と電力網の最適化を同時に解決するは今のコンピュータではできない
 電気自動車を蓄電池として使用する時のグリッドの最適化も難しい