「量子コンピューティングによる社会課題解決 〜 誤り耐性量子コンピュータ」
大阪大学 北川勝治氏 2022年 講演

 先日の人工知能EXPOの講演会のメモです。聞き違いや勘違いがあったらお許し下さい。なお*印は、私の見解です。


 量子並列計算は全ての可能性を並列計算できるのだが、当然のことながら遅い。1994年にピーター・ ショアが周期を持つものは速く計算できることを発見(ショアのアルゴリズム)。量子フーリエ変換(多くの波の干渉)による算法が提案されました。波の干渉(重ね合わせ)の原理をより忠実に実現したのがイオ ントラップ(ハネウェルやイオンク)。一方、IBMが超伝導型の4000量子ビットを開発。但し、いずれもNISQの段階。

 今考えられている誤り訂正は、9量子ビットで1つを表現する(*乱暴に言えば、多数決で0か1かを決める)方式。実装としては、7Qbitで階層を作って誤り耐性計算ができる方式。これによる万能なゲート方式が研究されています。トポロジカルなDECで積を計算します。誤りの根本は、短い時間で重ね合わせ状態が崩れることです。

 現在の量子コンピュータは、5〜6つの方式が研究・開発されており、どれが勝ち残るのかは不明。ど れも残らない可能性もあります。ムーンショット6では、2050年に、汎用で量子ビット数の大きな誤り耐性量子コンピュータを実現するという目標になっています。

*動物の神経網では、樹上突起から入ってきたデジタル信号の重ねあわせを、シナプスで長時間保持される化学反応に変換-処理しています。量子コンピュータでも、電気信号と化学信号による(情報) 伝達-処理を組み合わせたものが開発されるかも知れません。これは「人工知能」ではなく、「人工頭脳(ニューロコンピュータ)」と呼ぶべきものです。私は、現在研究されている量子コンピュータではなく、動物の脳をシュミレートする「ニューロコンピュータ」が有望ではないかと考えています。