「セールスプロモーションの実際 第二版」 渡辺隆之・守口剛 2011年 日経文庫

 第二版が出たのを知りませんでした。ブックオフで見つけて読んでみました。相変わらず、認知科学・神経科学に無知な、非科学の言説の羅列です。その上、マーケティングの基礎を理解していない著者たちの本なのでもう … なのですが、販促現場の知見で参考になる部分もあります。ありがとうございました。 以下はこの本の要約と引用です。

《1.  顧客の行動を変える》

 セールスマンの営業活動の多くが、プロモーションの説明に割かれています。店頭販売促進支援策<リテール・サポート>に移行しつつあります。

 購買価値向上を高めることがプロモーションの原理。例えば、店頭での推奨は購買検討コストを下げることに寄与します。

 ネットショップは、訪店コスト、運搬コスト、レコメンデーションなどによる購買検討コストを低下させています。

 個人識別可能な携帯電話の普及は、 ターゲッタブルなIMC(インテグレーテッド・マーケティング・コミュニケーション)を可能にしました。

《2. 効果的なプロモーション》

 アローワンスは、メーカーの販売促進に協力したことに対する小売への報酬です。広告アローワンスと陳列アローワンスがあります。

 インストア・マーチャンダイジングは、小売店内で実施されるマーチャンダイジングやプロモーションのこと。レイアウトやスペース・マネジメント、プラノグラム(棚割)、品揃えが主な内容。

 買うためには消費されることが前提。消費を促すプロモーションもあります。カテゴリーのトップメーカーによって行われます。

 チラシによる売上効果は、チラシによる集客効果ではなく、掲載商品が目立つように大量陳列すること、そして、店舗スタッフが「チラシに載せるからちゃんと陳列しなくては」と思って売り場を作ることによるものです。チラシは有用ではありません。チラシは、買物目標の限定化に結びついています。店舗プロモーションは、目的が明確でないものがの殆どです。

 買上点数の増加策は、関連商品の販促(バンドル/メニュー提案/バラエティ訴求など)、購買行動プロセス全体の促進(レイアウトなど)。

 既存店舗の可変の要素は、マーチャンダイジングとプロモーションに限られます。

《3. 買う買わないは、何で決まるのか》

 生活者にとっての、商品の意味(価値)を発信します。商品ごとの情報ではなく、「比較一覧」の方が、購買者の情報処理時間を短縮します。

 壁や天井から吊るすトップ・ボードなどは、手前を歩いている時に目に入ります。POPは商品の直近になければ効果はありません。

 買物の初めと終わりでは、買物意欲に差があります。情報処理の負荷が大きな商品は初めの方に、小さなものは終わりに方に配置します。レジ前には、買い忘れ商品や習慣購買商品を配します。重量嵩ものも出口近く、カート近くに置きます。

《4. 様々なセースル・プロモーション》

 陳列コンテストは、トレード・プロモーションの代表です。POP広告や陳列用具の提供などのディーラー・ヘルプスもあります。

 リテール・プロモーションには、特別陳列や実演(デモンストレーション)販売。小売店舗のアカウントをフォローするお客様限定の販促もあります。フェイスブックは、登録されている顧客属性などに基づいたターゲティング広告を出稿できます。フェイスブックのチェックインクーポンは、位置情報連動クーポンの一つです。

《5. プロモーションの計画と実施》

 需要の多くが既存顧客の反復購入によって支えられています。パッケージクーポンも継続購買促進の一つです。缶コーヒーのような嗜好品は、ヘビー・ユーザーの購買の貢献が大きくなります。コカコーラの「ジョージア」はクローズド懸賞を2008年から継続しました。