2022年にノーベル賞を受賞したスバンテ・ペーボ教授の講演会「「なにが人類を特別な存在たらしめているのか?」を探求する旅」を聴きに、東京大学安田講堂に行きました。


会場の安田講堂。様々な歴史の証人となってきた場所。女房は娘の関係で何度も訪れていますが、私は初めて中に入ります。中はフツ〜の講堂でした。一橋の兼松講堂の方がいいな〜〜〜 ← 講堂を見物しに来たわけじゃないので … 。
スバンテ・ペーボ教授の講演で解ったこと。教授はとっても「良い人」で、現生人類とネアンデルタール人やデニソワ人が「平和に交配した」信じていること。その信念を覆すのは、良い人過ぎてできないことなんだろうということです。ネアンデルタール人が絶滅したのも、現生人類の方が圧倒的に数が多く、それでネアンデルタール人は「飲み込まれてしまった」とお考えのようです。それを、幼稚だとか非科学だとかいうのは易しい。けれど、ペーボ教授の表情を見ていると、「それでいい」と感じてしまう。ネアンデルタール人やデニソワ人のY染色体上の遺伝子が何一つ見つかっていないことは、普通に考えれば「男は殺し、(美)女は犯した」と考えるのがフツ〜ですが、教授はそう考えたくないようです。「この人はそれでいい」と感じました。
教授は、「現生人類を特別な存在にしている要因は何か、私たちの行動の根源にあるものは何かというテーマに興味があります」と述べます。根っからの楽観主義者です。でも、明るい未来を信じて、幸せに生きる人だけが、明るい「近」未来を作ることができる、というのも事実でしょう(「遠未来」は何一つ動かせませんが)。
それでも、現生人類に特有の変異がみられるADSLという遺伝子は、攻撃的な行動と関連があることは、明らかにしているのですが … 。