先日、テレビを点けたら偶然「100分で名著」で、北条民雄「いのちの初夜」が取り上げられていました。もうそれだけで涙です。

 この本は高校生の時に、国語の教師に薦められて読みました。概要を聞かされていたので、もう1頁目から涙が止まらず、ず〜と涙を流しながら読みました。長い話ではないので、涙が止まる前に読み終えて・・・ため息をついて、それ以来、北条氏の生きた証を忘れることができません。10年以上前になりますが、女房と癩病の患者さんが収容されていた療養所を訪れたこともあります。

 番組で初めて知ったこと。川端康成氏が北条氏を支え導いた人物だったとは …。正直言って川端氏の小説は好きではないし、評価もしていませんでした。なのですが、死を知った川端氏は療養所に駆けつけたと言います。当時は癩病は感染すると言われていたのです。にも拘わらず、駆けつけた川端氏の文学者としての矜持に心を打たれました。その点だけでもノーベル文学賞を獲る価値はある人物だったんだと再評価した次第です。