「算法少女」 遠藤寛子 2006年 ちくま学術文庫

 感動した!!! けち臭い武家の世界を乗り越えて、数学を究めんとする少女の史実に基づく物語。主人公のおあきが、一揆に加担した人々を救ったのも、町人の意気地でしょうか。 以下に、特に気になった歴史に関わる記述を引用しました。この本は、明治維新につながっていく、歴史の胎動を感じさせるものでもありました。


・はじめに

 「『算法少女』は … 今から二百年ほど昔、江戸で出版された算法の本の題なのです」。「和算は、高い水準に達していながら、真の学問として成長せず … 西洋の数学に後れをとることになったのでした」。

・本文

 「この時代のならわしとして、先生について習うものには、すべて、それぞれの流派を学ぶことになるといっても、いいすぎではなかった」。「学問自体の大きな違いがあるわけではなかった」。

 「学問といえば儒教 … だけをさし、算法などはなぐさみの遊び同様に考えられていた」。

 「そんなおやさしいかたが、いくら御政道でも、ずいぶんむごいことをなさったものね」「そうりゃあ、殿さまなんて、わしらのかんがえる以上に不自由なものらしいよ」。…「わたしらはしあわせなことに町の者さ。… ましておあきちゃんは若いのだから、おあきちゃんでなければできないことをやっておくれ」。

・あとがき

 「和算書「算法少女」は、わが国で明治維新前に女性の関わった唯一の数学の本」。


・検索結果
 最期に、本多利明についてのBing-AIでに検索結果を載せておきます。
 本多利明は、江戸時代の数学者、経世家(経済思想家)でした。越後の出身で、若くして江戸に出て、算学や天文学、剣術などを学びました。音羽塾という学問所を開き、多くの門人を育てました。『経世秘策』という書物を著し、重商主義的な政策を提案しました。文政3年(1821年)に亡くなりました。