放送大学「人文地理から見る世界」
面白そうなので視聴してみました。なにしろ暇爺ですから、好きな勉強をして機嫌よく過ごすことにしました。放送大学は様々な分野の学びを提供してくれる「強い味方」。有難い!!!
以下は、この講座で特に印象に残った内容です。
〇 焼畑は環境対応型の農業 〜
欧州は夏に雨が降らない <保水農業> … 冬の麦
東アジアは通年雨が降る <除草農業>
湿潤な熱帯では、イネ科の雑草の除去には林冠が形成される長い休耕期間が必要。焼畑とは、植生遷移を人工で作り出す。常畑は、人力などで雑草を排除する。
〇 熱帯林の開発 〜 ボルネオ
脂椰子からとるパーム油は、最も効率良く油が採れる。最も生産量の多い植物油。大規模な農園(プランテーション)は、環境と人権の問題を発生させる。環境へのダメージは、森林伐採よりも深刻。オランウータンは絶滅危惧種。持続可能なパーム油のための円卓会議(RSOP)を設立。日本では、欧州に比べて「倫理的な消費」が少ない。
〇 文明化
・インドネシアの村
先住民は、土着の精霊とカトリックの両方を受け入れている。精霊はクランを象徴する動物。カトリックは学校を建てている。
文明に触れると「村には何も無い」と気づく。現金収入が無い。町に出ると、自分たちの分化は通用しない。
・ニカラグア
昔はあった木(マホガニーなど)は無くなった。森林が無くなり、井戸も干上がった。獣も魚も獲れなくなった。土地を売る村人は浪費し、村を出ていった。共同体は崩壊した。地名も西洋の地名になった。言葉を失った人間は、自分を失った人間だ。
〇 治水と利水
川は直線化してきた。 蛇行した部分は洪水が起こり易い。河川の付け替えは古くから行われてきた。出雲のたたら製鉄も古代の環境改変の一つ。土を崩し川に流す。比重の重い砂鉄は水路に溜まる。崩し丘に棚田を作った。
治水の「伝統工法」は、近代にオランダから導入したもの。日本も植民地で新しい治水技術を試し、本国へ持ち帰った。植民地は技術の実験場でもあった。
〇 地形と災害
江戸時代までは主に台地に町を作った。低地と丘陵に都市が広がる。低地は洪水、丘陵は土砂崩れが起きる。地震の被害は、盛度および切土と盛土の境目で大きくなる。カリフォルニアでは、活断層の上には家を建てないという法律がある。
〇 人文地理学の系譜
人の移動と文化の拡散は対数的に相関する
拡散はモンテカルロシミュレーションで再現・予想できる
カヌー航海のシミュレーションにより、ポリネシア人の拡散が検証された
南米からの「コンティキ号の冒険」は否定された
人類と文化の拡散を言語と遺伝から分析する
農耕と言語の拡散は一致する 〜 人の拡散と文化の拡散は同じ
祖語 → インド・ヨーロッパ語族
→ アフロ・アジア語族
→ トラヴィダ語族など