「楽しく学べる知財入門」 稲穂健一 2017年 講談社現代新書

 私は知財権を否定しています。ですから、本を書いても「著作権は放棄」しています。勿論を、本を書けば「執筆料」は頂きますヨ! ← 労働の対価ですからネ!

 思い出しました〜。電子出版の会社から本の印税の通知がありました。私は「著作権を否定しているので受け取らない」と言うと「この電子出版では手続き上、それは認められない」「受け取って貰わないと著作権違反になってしまう」と強烈に反論されました。電子出版の初期で、ネットに関わる人々が「著作権侵害」に神経を尖らせていた頃です。私もその事情は理解したので「名目さえ、著作権ではない、としてくれたら受け取らせて頂きます」と返答し、先方もそのようにしてくれました。

 人間の知恵は、全ての人々の幸せのために活かされなければならない。その為にこそ、人々は知恵を絞るのだから。私の信念は変わることはありません。

 それなら何故こんな本を読んだのかって? 知財を考慮した実務になりそうだからです。残念ながら、生きている以上「薄汚い」現実とも向かい合わなければならないんです (*_*; そうして、この本を読んだら、知財法は思ったほどには「悪法」ではないこと、知財法を「悪用」する輩があまりにも多いことを理解しました。 以下はこの本の要約と引用です。


■ はじめに

 「パクリ」を糾弾する社会風潮が醸成されています。問題の無い「模倣」までも葬り去られては本末転倒です。

 人類は模倣を通じて進歩してきました。先行物を参考にして、文明は進歩します。知財制度でも模倣は織り込み済みです。

■ 知的財産権とは

 知的財産権は、「経済価値のある情報を、財産として保護するための権利」。著作権と産業財産権に分かれる。著作権は登録しなくても自動で権利が発生する。産業財産権は、登録することで権利が発生する。意匠権は「量産できる物品」であることが必要。

 肖像権は、プライバシー権の一種とも言える。

 商標権は、更新可能なので、半永久の権利である。

■ 著作権

 ありふれた表現は保護されない。芸術作品をもとにしたものには、著作権が発生することがある。

 著作者人格権は、公表権、氏名表示権、同一性保持権の3つ。著作権は譲渡できるが、著作者人格権は譲渡できない。

 シェイクスピアの戯曲は、その多くが既存の物語や詩などを翻案したもの。ベートーヴェンの作品にも先行作品を拝借した部分がある。

 「表現として表れている部分」が先行作品と違うものになっていれば、著作権侵害とはならない。

 よく似たところがある音楽は多い。音楽とはそういうもので、著作権侵害となることはほとんど無い。

 ジョージ・ルーカス監督の「スター・ウォーズ」は黒澤明監督の「隠し砦の三悪人」から着想を得ている。映画業界においても「オマージュ」として許容される。

 写真いついては著作物性が認められやすい。撮影者から許可を取ることが一般的である。機械が自動撮影したものには著作権は無い。

 私的使用のための複製は、許可を得る必要は無い。公表された著作物であれば「引用」して使用することができる。

■ 商標権

 商標には、文字商標、図形商標、記号商標、立体商標、動き商標、ホログラム商標、色彩のみからなる商標、音商標、商標位置、商標結合がある。
 
 商標を付ける商品を指定する必要がある。指定商品・役務と異なる商品であれば、類似の商標の登録ができる場合がある。

 地域の組合などがその構成員が使う「地域団体商標」を出願することができる。

 他人の肖像や氏名を含む商標は原則として登録ができない。法人も人に含まれる。

 他社の商標とキャッチフレーズも「目印」となっていれば、商標としての使用とされ、商標権の侵害と見做される。

 普通名詞化されていれば商標権の効力がなりなる。「正露丸」「うどんすき」は、普通名称化したと判断されている。

 周知な他人の商品等表示と同一または類似の商品等表示を使用することは、不当競争行為として禁じられている。

■ 特許権・実用新案・意匠権

 発明者と出願者。会社の従業員が職務上行った発明(職務発明)は、発明者としてその従業員、出願者として会社名が記載されることが多い。

 特許の出願から3年以内に「審査請求」されたものだけが審査の対象となる。審査請求しなかったものは、出願が取り下げられたとみなされる。

 整備された特許制度が作られたのは、ルネサンス時代のヴェネチア共和国。1594年、ガリレオ・ガリレイが灌漑用揚水機の特許を取得している。

 川幕府は、1721年に新しい製品を作ること禁じている(新規法度)。

 特許法は、「自然法則を利用した技術思想のうち高度のもの」を「発明」としている。産業上利用できるものでなければならない。実用可能でなければならない。

 医師による医療行為も「人道上、人類のために広く開放すべき」という公益的な理由から特許の対象とはならない。

 特許出願前に公開された発明は「新規性」がなく特許とならない。発明を第三者に見せる場合には「秘密保持契約」を結ぶ必要がある。

 容易に考え出すことができない「進歩性」がある。

 ジャニー喜多川とメリー喜多川の姉弟の父親は、米国の高野山別院で第三代主監を務めていた多喜川諦道という僧侶。

 実用新案は、出願書類の型式に問題なければ例外なく登録されるようになった。

 特許は、出願日から1年6ヶ月後に「出願公開」される。

 発明したものを特許出願せず、秘匿するという選択肢もある。コカ・コーラ原液の配合方法がそれ。出願日から20年しか保護されない特許権と比べて、ノウハウは秘密が破られない限り永久に保護できる。但し、流出リスクや、同じ技術を発明した他人が特許を取る可能性がある。

 発明の構成要素をABCとする。[A+B]からなる商品、[A+B+D]からなる商品は特許権の侵害とはならない。

 特許請求の範囲=「請求項」の範囲に、発明の権利範囲が認められる。

 設計変更によって、他人の「特許発明の技術範囲」から外れるようにすることも行われる。

 クロスライセンスは、お互いの特許を交換すること。

 事業として使っていない、試験・研究のため、先使用権がある場合は、特許侵害に該当しない。

 特許を取っても使われるのは半数。半数は「休眠特許」。

 1983年にミノルタカメラは「自撮り棒」の特許を取得した。「早すぎた発明」は、利益を生み出さなかった。

 特許法は、模倣の積み重ねによって技術が進歩することを前提としている。

 基本特許を押さえ、改良発明に基づいた「応用特許」を取得し、周辺領域を「周辺特許」群で固める「特許網」を作る。

■ 知財の複合化と知財もどき

 ヤクルトはエスペラント語でヨーグルトを意味する「ヤフルト」から作られた造語。ヤクルトの容器は1975年に意匠登録されている。商品の「目印」として機能していれば商標権を確保できる。

 1998年、米国で著作権の保護期間が死後50年から70年に延長された。