「季語集」 坪田稔典 2006年 岩波新書
季語を集めた本。毎日新聞に連載された「新季語拾遺」「今様歳時記」が元になっています。参考にして句作りしたいという訳です。 以下に目についた冬の句などを引用します。また、「今はじめる人のための俳句歳時記 新版」から冬の句を引用しておきます。
■ 冬 新年
きりきりともみ込むような冬が来た 高村光太郎
大寒の街に無数の拳ゆく 西東三鬼
汽車は烈風の中を突き行けり 萩原朔太郎
七五三駆ければ帯の鈴が鳴る 千原叡子
マフラーに星の匂ひをつけて来し 小川軽船
三日月の櫛や忘れし雪女 佐藤紅緑
梅一輪一輪ほどの暖かさ 服部嵐雪
吹き抜けし風のぬけがら枯尾花 長山あや
どの山の影ともならず蜜柑山 辻田克己
海に出て木枯帰るところなし 山口誓子
すぐ眠くなる晩学の膝毛布 丁野弘
もう誰もゐぬ雪達磨 角川源義
聖夜劇終へし天使が母探す 遠藤若狭男
荒海や佐渡に横たふ天の河 松尾芭蕉
冬眠の蛇に滅びし社あり 有馬朗人
返り咲く花は盛りもなく散りぬ 下村梅子
裸木となりて樹齢を偽らず 早野広太郎
狂はねば恋とは言わず寒牡丹 西嶋あさ子
4Bで描く白菜の断面図 浦川聡子
枯蓮の折れしを風の吹き起こす 兒玉南草
年迎ふ鈴を惜まず三番叟 飯島晴子
ねこに来る賀状や猫のくすしより 久保より江
嵩なして男ざかりの年賀状 大島民郎
一波に消ゆる書初め砂浜に 西東三鬼
どの寺の鐘とも知らず姫はじめ 島津城子
一振りで越ゆ双六の箱根山 大石悦子
袖擦りて鼻の行方や福笑い 増田龍雨