「O2O、ビッグデータでお客を呼び込め」 松浦由美子 2014年 平凡社新書
この手のタイトルの新書版の本なら、読まなくっちゃいけません。この本は、事例を多く紹介しているので、生禿にとっては『話題に事欠かない』という点で助かります。理論やノウハウについては、オムニチャネルやビッグデータの現在の課題を示してくれてはいますが、その解法を示してはいません。それができるのなら、本なぞ書いていないで、ソリューションしているよね。という訳で、解決は生禿がやる!と意気込んでいる次第です。
O2O(Online to Offline)サービスは、「お得」「楽しい」「便利」です。
お得は、クーポンとポイント。「LINEを利用したクーポン」では、「消費者は、企業や店舗を友達に登録し、情報を受け取る」「従来の方法よりも低コストで配布ができます」。「楽天傘下に入ったスポットライト社が運営する『スマポ』」のポイントは、「大丸百貨店・ビックカメラ・ユナイテッドアローズ・マルイ・ファミリーマート」などでは、「超音波の通信機能を使って、来店客が店舗の中にいることを検知する」。
楽しいは、「AKB48の壁紙が貰える」などの「デジタルコンテンツ」。ゲーミフィケーション(ゲームの中の仕掛けを応用すること)は、「自分の居場所や移動距離に応じて、ゲーム上の街やキャラクターを成長させるためのアイテムや、ゲームで利用できる通貨などを取得してゲームを進めます。位置情報ゲームでは、リアル店舗に来店、もしくは商品を購入すると、ゲーム上の限定アイテムを取得できる仕掛けもあります」。「無印良品(良品計画)の驚きと感動の店頭体験」は、「フェイスブックにおすすめコーディネイトを掲載」「「いいね」の数を店頭のマネキンと商品POPに表示(音が鳴る仕掛けも)」。
便利は、「店舗や商品の情報」。「店頭の販売価格や商品在庫をネットで確認する」。
「特定の分野での商品・サービスの口コミ情報」で、「消費者の集合知を意識し、サービスの向上に努める」。Rettyは、「フェイスブック経由が多く、実名でおすすめする飲食店が見つかる」。
「店頭と通販の自社内ショールーミング」は、「店頭に行き、商品を手に取って確認し、通販サイトで購入する」こと。
「プッシュ配信により、狙ったタイミングで、利用者のスマホにメッセージを届ける」。「プッシュ通信やポップアップ通信には速攻性がある」。「不要なメッセージはブロックされる」。
「スポットライト社(スマポの運用会社)は、電通と業務提携」し、「来店ポイントで集客を促進する」仕組みを開発。「ビッグデータを活用して(テレビやWebの接触履歴(行動ログ)を利用して)、今だけ・ここだけ・貴方だけの、1To1の接客ができる(ようになる)」。
スマポは、「来店検知超音波を採用している」「ポイントを付与するエリアを設定して、消費者を特定の売り場に誘導する」。
「クーポンは来店効果はあるが、結局のところ価格施策です」。「来客から接客へ」と重点を移行していかねばなりません。
ジーユーでは、「O2Oの推進は、店舗の協力が不可欠。接客・有線放送・ポスターなどで、来店客にキャンペーンを知らせます」。モバイル会員制度を採用し、「現在は、閉店・開店・季節特売の時のみチラシを配布しています」「チラシよりも、スマホを活用したほうが費用対効果が高いのです」。「位置情報と連動して情報を配信できるため、イベントへの参加を促せます」。「アプリの会員数やSNSのフォロワー数が増えれば、それ自体が強力な自社メディアになります」。「選択権は、お客様にあります。僕たちは消費者に選んでもらえるように頑張るだけです」(GU-長谷氏)。
コカ・コーラは、ブランド体験を大切にしています。「思い出の傍にはコカコーラがある」「あらゆる顧客接点でコカコーラに関わってもらう」「コカコーラを通じて、友人・知人と体験を共有してもらう」「なぜどのようにコカコーラを手に取ってもらうか、を重視しています」。「イベントはネットと親和性が高い」。
東急ハンズでは、「ネットストアのDBは社内で作成。楽天やアマゾンへへの出店もAPIで提供しています」。「Webの担当者は、東急ハンズでのキャリアを、店舗の業務からスタートします。小売業のO2Oで難しいのは、ネット施策を社内で理解してもらうことです。店舗の人たちに価値を提供できなければ、前に進みません。O2Oの費用対効果を見える化し、店舗の人たちに説明していく必要がああります。また、ネットストアで決済し、店舗に取り置きができます。店舗へ売上をつけ替えます」。
「消費者はネットとリアルを行き来しますが、企業内部の連携はまだとれていません」。「効果測定を行う」「売上を店舗に計上する(最近行動最寄店舗:検索・受取)」などで、社内の理解を得ます。「リアル店舗・ネット通販・情報システム・広告などの組織を橋渡しする仕組みが必要」です。
ZOZOTOWN(スタートトゥデイ社)では、「スマートフォンアプリでバーコード機能を付加、店舗でバーコードを読み取ってWEARアプリ上で商品情報を参照・保存できます」。「パルコは、店舗でWEARを使った消費者が通販サイトで購入した場合、手数料を貰う」。
「ネットからの誘客は、その時限りのお客になりがちです」。「消費者の感情一つで、アプリは起動されなくなり、アカウントの友達登録は解除されます」。
「番組やCMで特定の音声を流し、スマホのアプリで(NFC(近距離無線通信の国際規格)を利用して)それを読み取ると、連動したコンテンツが配信される」。「駅貼りポスターにNFCタグを設置」「スマホをかざすと、商品情報が閲覧できる|クーポンが配信される」。
「特定エリアに消費者が入ると、特定の処理を自動で行う(ジオフェンシング)」。「Wi-Fi端末の3点間の電波の強さで、精度の高い屋内位置計測が実現される」技術により、「行きたい店までのルート案内」「クーポンなどのお知らせ(プッシュ通知)」「来店ポイントの付与」ができます。
携帯端末の普及により、「今だけ・ここだけ・貴方だけ」のサービスができます。Google-Nowでは、「利用者の位置や日程、検索履歴などのデータから、利用者が今必要とする情報を予測して、自動表示する」。
データ分析の結果を活用した、プッシュ配信や、店員の接客が可能です。「利用者のライフログを受け取る以上の価値を提供し、アピールできるかが、ビッグデータを活用する鍵となります」。「入店時に来店を把握し、接客に活かす」「入店を識別し、商品を案内する」「店員の情報武装が必要かも知れません」。