「新マーケティング原論」フィリップ・コトラー他 2002年 翔泳社
コトラーのマーケティングの本とくれば「読まなきゃあ」なんですが、パラッとめくると軽薄そう … なので読むのを止めていた本なんですが、講義の参考に読んでおくことにしました。内容は … 残念かな。
ネット経済は一人勝ちブランド(独占)が成立する世界。それをどう考えるのが?是に儲けを超えた見解は … ありません。たかがマーケティング学者ですから、そこまでの知性を求めるべきではないのかも … 。 以下はこの本の要約と引用です。
《序文》
買手が売手に製品の条件を示し、希望価格を伝え、受取方法を指定する。製品情報を受取るかどうかを決めるのも買手である。
《1. マーケティング力を武器にデジタルエコノミーを生き抜く》
個客市場を前提とし、(作って売るという発想を捨て)、ニーズを感じてそれを満たす。デジタル技術により、一つの注文にも低コストで応えられる。例:デル・コム(コンピュータ)、IC3D(ブルージーンズ)。
実体市場(マーケットプレース)と仮想市場(マーケットスペース)。インターネット上には、無限の棚スペースがある。マーケットスペースを構築するには、製品の準備や会員の獲得に大きな初期投資を要するが、以降の変動費は少ない。
ネット事業で成功すつのは一社のみ。自ら生産や物流のための資産を持つ必要はない。ブランド力が必須となる。
デジタルエコノミーで競争優位の源泉となるのは、関係資産。各社は、個客シェアを高めることに注力する。
サプライヤー(調達先)を絞り込み、事業パートナー(協業社)として関係を深めることが、収益性を高める。
《2. 市場の革新に向けて戦略を構築する》
事業パートナーも役割は、価値創造。サプライヤーを絞り込み、情報の共有化、製品の共同開発を促す。必要な経営資源を入手るために、協業ネットワークを構築する。先行者は、最良の事業パートナーと人材と顧客を手にすることができる。
「マーケティングの核心は口コミである」チャールズ・シュワブ副社長レン・ショート。アマゾン・コムは、読者レビューを投稿するように勧めている。顧客コミュニティは、企業側が影響力を及ぼすことも、参加することもできない。自社サイトを訪れた顧客に対しても、個別に了解(パーミッション)を得ないとコミュニケーションできない。
マーケティング部門は、組織の壁を越えた発想と行動が求められる。全社員が顧客価値の提供が自分の使命だと考えるようにしなければならない。
《3. 市場機会を特定する》
顧客経験(購買-消費プロセスの様々な出来事と感情)に注意を向けると、新たな洞察が得られる。イケア(やニトリ)は「日々の生活を豊かに:という顧客価値を具現しようとしている。
《4. 他社を圧倒する製品・サービスを設計する》
赤ちゃんを持つ母親向けのコミュニティ・サイトを設け、専門家や経験者が子育てのアドバイスをするコーナーなどを作ることにより、紙オムツの消費を理解することができる。
製品やサービスが単独で提供されることは稀である。組み合わせ販売(バンドル)が一般的だ。
インターネット上に、顧客が製品舞いゼーションを設計/構成するためのツールを提供して、カスタマイゼーションができる。受注生産は、在庫コストを省くことにより、大量生産よりもコストを抑えられる。
カスタマイゼーションには、1)オプションを組み合わせる、2)顧客の要望に応じて製品を個客別にアレンジして提供する、3)顧客のニーズを観察により把握して、顧客に気づかれることなく適用する、がある。
《5. 事業構造(アーキテクチャー)を設計する》
情報仲介業は、消費者の個人情報を管理し、ユーザーが個人情報を登録するよう求められた時に介入する。情報の対価を徴収することもある。
デジタル技術により、参加者の匿名性を前提とした市場が作り出されている。
《6. 事業の基盤と能力を構築する》
経営資産は、1)顧客(カスタマー)、2)社員(インナー)、3)取引先(パートナー)である。
顧客関係管理(CRM)に適さない日用品などの事業もある。
デジタル技術を用いて、顧客を精緻に分かることができる(マイクロ・セグメンテーション)。
顧客は、ご贔屓様1%、お得意様(継続客)5%以下、常連客20%以下、一見客80%、で構成される。お客様が引き上がるかどうかは、顧客満足によって決まる。
顧客便益=製品効用+銘柄価値+関係価値ー製品価格ー時間費用
購入履歴は、(デジタル決済が普及すれば)クレジット会社などから入手できる。顧客情報は、全社情報システムに蓄積する。全社の業務のソフトウェアを、ERPやSCMなどの共通のプラットフォーム上で運用する。全てを一つのシステムで俯瞰できるようにする。
《7. マーケティング活動を設計する》
一回限りであれば、顧客をサイトに引き寄せるのは難しくない。多額を投じてオンラインやオフラインの広告を行ったり、オンラインで無料プレゼントを提供すればいい。その人々が戻ってきてくれるとは限らない。使い易いコンテクストと、面白く有益なコンテンツが不可欠である。オンラインコミュニティの構築には多大な経営資源を要する。
口コミをマーケティングに活かすためには、顧客が誰から情報を得ているかを知る必要がある。推奨してくれる人は、どのような言葉を用いているのか。顧客の意見が大きな影響力を持つのは、情報や経験や見栄えに関わる商品、あるいは高額な商品である。。
顧客を説得するのではなく、顧客の要求を探索し、あらゆる交信経路を活かして、ターゲット市場に一貫した価値を提案しなければならない。
《8. 業務オペレーション》
競合他社よりも半年早く発売できれば、その製品から得られる累積利益は3倍になる。
《9. 市場に新風を吹き込み、利益と成長を達成する》
多くの組織で、正規の規則よりも、行動規範が優先されている。企業が知的柔軟性、革新性を社員の間に情勢しようとしている。
《解説》
マーケティング支出の多くは投資であり、費用と捉えるべきではない。