「パズル 物理入門」 都筑卓司 2002年 ブルーバックス

 古い本なのですが、著者は都筑氏だし、時間があるので読んじゃいました。 以下はこの本の要約と引用です。といってもクイズの本なので、解説の部分で面白いところをまとめただけです。*はWEB検索結果です。


■ 新装版刊行にあたって

 コリオリの力は難しい。高温と低温は混合する筈である。静力学と動力学は違う。

■ 疑問から創造へ

 長い波長の波は直進するが、短い波長の青い光は散乱する。朝夕では、太陽光は厚い大気の層を通る。短波長の光は散乱し、赤い長い波長がやってくる。雲を作る水滴は大きい。白色光を全波長にわたって散乱するため雲は白い。

■ 納得のいく説明

 密閉した箱に小鳥を入れる。鳥は箱の中を飛んでいる。鳥は羽ばたき空気に下方の力を与える。鳥の重さは、空気を仲立ちとして箱に伝わる。

■ 静力学

 刀で斬るとき押したり引いたりすると、それだけ尖った刀で斬りつけることになる。

 塚原卜伝は襖と襖の間に枕を入れて、入ってくる兄弟を試した話。

*ある時、卜伝は自分の家に弟子入りを志願してきた兄弟二人を試験しようとしました。卜伝は、二人の間に深い絆があることを知っていましたが、同時に、武道の道は厳しいものであり、真の強さを身につけるためには、己を磨き続けなければならないことも理解していました。そこで卜伝は、二人の寝所となる部屋の襖と襖の間に枕を立てかけ、その隙間に二人を寝かせました。そして、夜中に二人の様子を見に行くと、兄は狭い隙間に苦しみながらも我慢していましたが、弟は我慢できずに枕をどけて広いスペースで寝ていました。翌朝、卜伝は二人の様子を見て、兄の忍耐力と弟の安易さを指摘しました。そして、武道の道は、ただ力や技を磨くだけでなく、精神的な鍛錬も必要不可欠であると教え、弟にはしばらくの間、修行を続けるよう指示しました。

 静力学の問題は、力の釣り合いとして提出されることが多い。

■ 動力学と摩擦

 回りながら下る物体には、慣性モーメントという「回りにくさ」が働く。

 スリップした車のブレーキを放す。転がりはじめの摩擦係数が、滑り運動摩擦係数より小さければ、車輪は回転し始める。

 摩擦力を大きくしたいときは、接触面を強く押せばよい。

■ 地球

 コリオリ力。自転速度の速い場所から、自転速度の小さな場所に向かって走るときは、自転の方向に曲がる。遅い方から早い方へ走ると逆の方向に曲がる。

 高気圧から低気圧へ、風邪が真っ直ぐに吹き込まない。低気圧の中心からずれた風は低気圧を発達させてしまうこともある。

■ 流体力学

 地球上では、サイフォンの水は水面から10mしか昇れない。

 水に浮くためには、ある程度水面下に没していなければならない。水面下に没している部分の体積を水で置き換えた重さと、浮かんでいるものの重さが等しいとき、ものは浮かぶことができる。

 食塩水が凍るときは、塩分を液体側に押し出す。しかし、閉じ込められた食塩水は少し残る。不純物の少ないゲルマニウムやシリコンを作るときは、この原理を利用して、[液体→個体]を繰り返す。

 個体では力は下に向かって働いているが、液体では八方に同じ圧力が働く。

■ 光と音

 眼の受ける感覚は、赤・緑・青の三つしかない。青と緑の光がやってくると水色を感じる。水色だけの光波がやってきても、青と緑の感覚が刺激される。両者は識別できない。色を分解する能力は無い。

 人間の眼では、水晶体と網膜の距離は固定している。水晶体の厚さを毛様筋が変える。片目で見る場合でも、この毛様筋の緊張で脳は距離を判断する。

 煙草から直接出た煙は粒子が小さく紫色に、口から出た煙は水分を含んで粒子が大きくなり、あらゆる光を散乱して白く見える。

 音は気温が高くなるほど速く伝わる。夜は陸地は冷え込み上空の方が暖かいことが多い。このため海岸の音は所要時間の短い上空を通る。障害物の無い上空を走る音は、遠くまで届く。光も空気の密度が薄いと通りやすくなる。上空が暖かいときは、光は弓型に曲がる。これが蜃気楼である。波は最も所要時間の少ない道を選ぶのは、波動一般の性質。

 超音波は水中で方向性を持ち、反射音をキャッチすることができ、潜水艦や魚群を探査できる。

■ 熱と電磁気

 これ以上遅く走れないのが絶対零度。また、真空より低い気圧は無い。

 正電気を持った玉は反発し合う。水の中に入れると反発力は小さくなる。

 熱は抽象概念である。

 物質構成の要素を粒として考えるのが物性物理学。

■ 相対論と宇宙

 地球の表面の面積は有限である。でも端は無い。宇宙も体積は有限だが端は無い。

 物が光の波長より小さくなると、光は散乱しない。見えない。

 時間軸を含めた四次元空間では長さは一定になる。