2021年デジタルシフト“セッション5”第2回の参加しました。

 お題は「事業会社におけるデジタルシフトと広告会社への期待」。講師は、積水ハウス株式会社 コミュニケーションデザイン部 CXデザイン室課長 竹原賢一氏です。

 講演の内容はともかくとして、考えさせられたのは、これからの広告会社の立ち位置と、事業会社が「新しい生活様式」をどのように提案していくかということ。

 電通は、営業を「ビジネスプロデューサー」と呼んでいます。事業会社のパートナーになるという意味ですが、私も半世紀近く前に広告会社に在籍し、「客先の事業に関わる」ことを目指して、結局は広告会社を辞めて、仲間と一緒に事業会社を設立しました。結論から言えば、広告で商売している会社が事業会社のパートナーになることはできないということです。今猿会社も「パートナーになる振り」はできますが、パートナーにはなれまません。利益の分配で結局は対立することは、私も経験済みです。商社のように共同出資者になる方法もありますが、それなら、パートナーではなくて、事業者そのものです。

 広告会社が、「事業に向き合う」「事業の組織と過程に対応する」なんて絵空事。戯言ですね〜、と再確認した次第。

 もう一つ、この講演を聞いていて考えたのが(講演では殆ど触れられていませんでしたが)、住宅生産者として「新しい生活様式」をどのように考え、どうやっては発信していくかです。

 在宅勤務で夫が家で仕事をするようになると、家庭が職場になります。仕事モードの空間(仕事場)を住宅の中にどのように作るか。設備だけでなくVRも活用してどのように演出し、気分を切り替えるか。在宅勤務の空間と時間をどのように作るかという、今までの住宅とは全く異なる課題にも応えていかなければなりません。それは夫も妻も(在宅学習する)子供も、家族全員についてなのです。

 在宅勤務/学習は、家族一人ひとりの個の時間と空間を大切にするだけでなく、その一方で、家族の繋がりも強化します。平日の昼間、公園で子供と遊ぶお父さんを見かけることが増えました。主に家族が休む場であった家庭が、家族が共に活動する場としてどう機能するかが住宅に問われます。

 大昔は、夫は妻の支えの中で生きていました。これからは、妻も夫の支えによって、活動の幅を広げる時代なのです。私の妻は、「貴方と結婚して私はより自由に動けるようになった」と感謝されますが、それは本来は、ちっとも感謝されるべきことではありません。夫婦は連れ合いです。互が互いに連れ合い高め合うのが当たり前。女房は「私は貴方の幅を広げなかった」と言ってますが、そうではありません。妻が夫を支えるのは当たり前という考えが間違っているのです。世の中の夫は、妻のお陰で自由に動けていることを深く感謝すべきなんです。

 夫が家事のシェアするとか、協力するとかいう古臭い考え方は時代遅れで陳腐です。夫は主体として家事に関わり「主夫」であるべきなのです。それがさらりとできるのが「男らしさ」です。

 さて、上記のような課題に応えていく住宅生産事業会社のデジタル化プロジェクトの目標設定とはどのようなものになるのでしょうか?

 少なくとも「今住宅購入を考えている人からの受注を最大化する」ではないことは明らかです。一般にデジタルの世界での「購買最大化」は、事業を「売り潰す」ことを意味することは周知の事実。デジタル世界での売上最大は、解りやすく言えば「押し売り」をした結果です。購買者は販売者に悪感情を持ち「二度と買うものか」と決意するのですから、事業は潰れます。当たり前のことです。

 目標は会社に対する好意、それに基づく購買以前に既に醸成された選好を最大化することになるでしょう。難しいのは、その目標を達成するための基準です。

 この基準の設定が難しいのです ← それを散々やってきた私が言うのですから間違いありません。それは住宅生産者であれば … ← 教えるわけ無いでしょう!さんざん苦労して、七転八倒して身につけた知恵なんですから。それは、私の講義を聞いてくれる学生にだけ教えることにします。可愛い教え子には、出し惜しみなんてしません。

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 通勤途中の道端の紫陽花。元気に咲いています。花はいつものように咲く。コロナヒステリーで命を萎ませているのは人間だけです。