「つながる脳科学」 理化学研究所 2016年 ブルーバックス

 この本も再読です。気になるところがあったから … ではなく、読んだのを忘れて買っちゃったからでややんす (*_*)。でもそのかい?あって、少しは読み込めたような気がします ← 気がするだけです (^^)/ 以下はこの本の引用と要約です(気になったところだけですが)。*印はWEB検索結果です。


■ 記憶をつなげる脳

 記憶することによる脳内の変化をエングラム(記憶の痕跡:神経網や神経接続や神経細胞の状態)。エングラムを保持するニューロン群をエングラムセルといいます。記憶は、特定のニューロンのネットワークとして存在します。

 恐怖記憶を作るために発火した偏桃体のニューロン群は、海馬のニューロン群と結びついています。

 オプトジェネティックスは、光に反応する蛋白質を使った遺伝子操作。蛍光蛋白質の遺伝子を神経細胞に導入し、光照射によって神経細胞の発火を制御する技術。動物の視細胞で働く蛋白質のロドプシンを特定のニューロンに発現させると、光を当てるだけで膜電位を操作できます。

■ 脳と時空間のつながり

 ラットの頭には「絶対空間」があります。

 空間を認識する場所細胞は、時間の認識にも関わっています。場所細胞の発火は、バックグラウンドの波の谷底に合わせていちばん強く活動します。ラットの移動とともに発火するタイミングが少しずつ谷底からズレていきます。移動の経験が、発火の順序として圧縮されています。エピソード記憶では、ニューロンの発火する順序性が、短期間の時間感覚そのものではないかと思われます。

■ ニューロンをつなぐ情報伝達

 情報伝達は、ニューロンの膜電位が閾値を超えたところから始まります。小胞と細胞膜内壁が融合して、開口放出が起きます。受容体は、細胞膜での配置の拡散・凝集によって数の調整を受けます。

 シナプスには1000種以上の蛋白質があります。

 シナプスの可塑性は、二つの仕組みで調整されます。シナプス前部の開口放出の確率を変えること。シナプス後部の受容体の数を変えること。

 シナプス小胞は、近隣のシナプスを行き来しています。一つのニューロンに存在する複数のシナプスは、独立しているわけではなく、協調しています。

 局所的な樹状突起の活性が一定の範囲で上がりすぎたり下がりすぎたりしないように、同じ樹状突起の枝にあるシナプスの強度が、近隣のシナプスによって協調的に制御されています。

 シナプスの信号伝達は前部から後部への一方向ではなく、シナプス後部が前部にシナプス強度の制御を要請しているようです。

 ニューロンの発火の連鎖は、ニューロンの結合を強めます。ヘブの法則に従わない場合もあります。

 アストロサイトが、シナプス間の可塑性を仲介して、シナプス強度を調整しています。

■ 外界とつながる脳

 一次嗅覚中枢には球状体があります。匂いの情報は、複数の球状体が、ある時空パタンで活動することによって脳内にコードされます。

 一般にニューロンは、刺激が与えられていなくても自発的に発火しています。

 球状体の神経配線は、相互に全部つながっています。二次細胞は多数の球状体からの信号を受けて、シグナル-ノイズ比を最大化する情報を脳の深くへ伝えます。

■ 数理モデルでつなげる脳の仕組み

 脳の発達には「臨界期」があります。様々な学習についてそれぞれ臨界期があり、順に巡ってきます。

 入力ニューロンが発火したときに、出力ニューロンの膜電位をどれだけ変化させるかを「シナプス強度」と呼びます。シナプス可塑性は記憶や学習のメカニズムだと考えられています。

 シナプス前部側の神経伝達物質を放出する頻度と、シナプス後部側の感度を掛け算したものが、シナプス強度と考えられます。シナプス後部では、個々のレセプターの影響の大きさとレセプターの数の掛け算がシナプス後部の感度になります。

 ペーセプトロンの基本設計は、信号を与える入力層(感覚層)、入力情報を統合して特徴を抽出する中間層、出力を生成する出力層(反応層)の三層に分けられます。

 ネオコグニトロンは、視覚野を模倣したニューラルネットワーク。

*ネオコグニトロン
 主に2種類の細胞(ユニット)があります。S細胞(Simple cells):特定のパターン(エッジなど)に反応する。C細胞(Complex cells):位置のズレに対して頑健で、S細胞の出力を統合する。位置ずれに強い認識能力があり、同じ形でも場所が少し違っても認識できます。
 ネオコグニトロンは「見る位置が少しずれても同じ文字や形を認識できる」ことを目指した、初期の深層学習の先駆けとなるモデルです。のちの畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の原型ともいえます。

 なぜ三層ではなく、深層だとうまくいくのかについては、確かなことは分かっていません。

 教師信号と実際の出力との誤差を、逆方向に伝えていくことによって学習します(誤差逆伝搬法)。脳の動作とは異なるものです。

 進化の場合は、子孫を多く残せる遺伝子が残ると考えます(生存率の最適化)。脳の学習も同じようなアルゴリズムでその過程を説明できるかもしれません。

 独立成分分析ができる神経回路があります。カクテルパーティ効果のように、ノイズをカットして、信号をクリアにします。潜水艦のソナーなどにも実用化されています。

 エネルギー一定なら最大エントロピーになる。脳に当てはめれば、生存するという制約条件の下で、最も多様な神経回路が生き残ることになります。

■ 脳と感情をつなげる神経回路

 情動は、神経系や免疫系や内分泌系、様々な身体システムが働いた結果としての生理反応です。

 恐怖学習の消去学習は「消去」ではなく、恐怖記憶を抑えるために、別の記憶を作っています。

 偏桃体は、動物種を超えて非常によく保存された脳部位です。

■ 脳の病の治療につなげる

 神経疾患と精神疾患の区分は病気の側には存在しません。

 双極性障害は、治ってしまえば元通りです。双極性障害は、何年かおきに、鬱状態や躁状態が発症する病気です。

 患者さんの死後脳を調べる研究が大切です。

 患者さんと両親の三人の全遺伝子を調べ、新しい突然変異に手がかりが期待できます。

 カルシウムシグナル=細胞内のカルシウム濃度の変化が、細胞内の化学反応を進める引き金になります。カルシウムが集中している細胞内小器官が、ミトコンドリアと小胞体。

 精神疾患の臨床試験は、問診による症状評価だけ効果を判定しています。治療薬は、偶然に発見された薬がヒントになっているものばかりです。

 生体の指標(バイオマーカー)と治療法をセットで開発していかないと、精神疾患を克服することはできません。

 ミトコンドリア病は、エネルギーが生産できなくなることが原因の病気。どの臓器のどの細胞で異常が起きるかによって、様々な疾患があります。糖尿病はランゲルハンス島、パーキンソン病は黒質です。

■ 親子のつながりを作る脳

 交尾し雌と同居する経験を経た雄のマウスは、自分の子だけではなく、よその子でも殺さずに子育てをします。雄の脳が変わったのです。

 齧歯類は、恐竜が絶滅した6500万年に霊長類と分かれました。河馬や鯨より霊長類に近い動物です。

 1回目のセックスから上手にできる人は多くはありません。子育ても同じ。欲求が本能的であっても、上手に行うためには経験が必要です。初産では養育放棄もよく起きます。しかし二産目には同じ母親が上手に子育てすることがほとんどです。