「デジタル時代の基礎知識 リサーチ」 石渡佑矢 2017年 翔泳社

 インテージの社員が書いた超入門のリサーチの本。講義の参考にと読んだのですが … 超入門過ぎて … 。

 この本を読んで感じたことは、インテージは「データ販売社」であって、本質としては「分析者」が存在しない会社ということです。データを売るのが商売。分析は「おまけ」。現在のように分析だけでなく、分析結果からの解釈(事業仮設など)を求められる時代になっても本質は変わっていないということ。かつて、某氏を通じて、インテージの低い分析力では扱えない高度な分析を依頼されてことがありますが、おそらく現在もそういう状態なのではないか。そして、外部依頼の頻度が高い分野については、依頼先を会社ごと買います。

 呆れたのは「真のニーズや行動理由を知りたい場合は、対面インタビューが有効」という記述。完全無欠にして言語道断、空前絶後の出鱈目の限りを尽くすお言葉に仰天させて頂きました。知能程度の低さは、マリアナ海溝より深いと感動しました。

  とは言え、データの会社であるインテージの経営としては正解なんです。分析の研究などをして、新しい手法を開発しちゃったら、データ屋としては迷惑千万。今までと違うデータのとり方、さらには新しいデータを必要とするなんてのは、営業妨害。もっと酷いのは、従来の2つのデータを併せた集計結果が必要だったものを、1つのデータで済ますような手法を開発しようものなら、商売の邪魔者扱い。何しろ分析の精度としてはデータ源一つの方が高いとあっては、営業妨害もいいとこ。

 という訳で、冷や飯を食った優秀な分析者は外へ出る。ところがこの分析者、バリバリ結果を出して、固定の客先もつき、小さな会社を起す。お定まりのことだが、優れた分析者は優れた経営者ではない。だから事業としては良いのだが、経営は火の車。そこでインテージが、会社ごと買ってあげる。社長以下社員の生活も安定して、目出度しめでたし。なのですが、挑戦する仕事には恵まれない・・・という繰り返し。私のような一匹狼は、流石のインテージもどしようもなく、悪態をつかれながらも、能力が無いので仕事は頼まざる得ない。毎度有難う御座います、という次第です。

 結論から言えば、データ屋の経営としてはインテージは立派。分析屋としては最低。それでいいのだ! ← バカボンのパパか?

 以下はこの本の要約と引用です。


《1. リサーチの基本》

 インテージでは全国4000んp小売店から販売データを収集している。SCIでは、5万人から購買データを収集している。

《2. リサーチは何の役に立つのか》

 生活者の所得が変わらないとすると、何かを新たに買えば何かを買わなくなる。何かに時間を費やせば、他の何かに費やしていた時間はなくなる。

《3. リサーチを始める前に》

 リサーチは、ゴールから逆算して情報収集や分析をするアウトプット志向でなければならない。

《4. リサーチの方法あれこれ》

 サンプリングデータは「集めるデータ」、ビッグデータは「集まるデータ」。

《5. リサーチの企画と実施》

インターネット調査では、リサーと会社が保有しているアンケートモニターを対象にすることが多い。

《6. リサーチ結果の分析》

 矛盾回答の入力を防止できるインターネット調査では、データクリーニングの手間は少ない。

 世帯所得の最頻値200〜300万円、中央値427万円、平均値542万円。

 BI(ビジネスインテリジェンス)ツールには、主要な指標を一覧するダッシュボードが組み込まれている。

 複雑な情報を絵解きなどで伝える「インフォグラフィック」は、コンテンツにも活用される。

《7. リサーチの戦略的活用》

 世界経済のメガトレンドは、人口増加、資源とエネルギーの不足、水と食料の不足、気象の極端化と温暖化。

 ブランドリニューアル。新しい世代を取り込む前に既存顧客が離れてしまうと、ブランドは崩壊する。