日本広告学会「デジタルシフト」2022年第1回
「データの法と倫理」
(株)電通勤務 / 大阪大学招聘教員 朱 喜哲
広告学会の講演会(ズーム)を聴きました。お題は、個人情報の倫理について。私は「個人情報は、当該の個人のもので、個人で管理できる環境を整えなければならない」と考えていたのですが、この講演を聴き自分の考えが浅いことを思い知りました。ありがとう御座いました。以下は、これについての講演内容の要約と私の感想(*の部分)です。
・データの権利をどう理解するか
EUの「データは個人が所有し持ち歩く」というデータ主権
− データは売り買いの対象か?
データは財産か? 〜 所有していても、血液のように売れなものもある!
裁量を個人に任せるのは個人の負担が重すぎる
− データは個人のものは正しいのか?
* 購買データは購買者のもの? 販売データは企業のものでもあるのでは?
・欧州ではデジタル専制主義への危惧が強い
ー EUは「一般データ保護規則」を制定
ー 日本では基本の考え方が確立していない
・中央集権な情報信託銀行は機能しない?
− ブロックチェーンの方が良いのでは?!
・人間は(明確な)意思を持つという前提は成り立たない
− 個人情報管理は合理性では立たない
主体的な関心では対応できない
− 人間の行動は意図せざる結果を招くのが当たり前
*人間は、自律と依存の両方で生きています。自律だけでは過負荷になり、依存だけでは不自由になります。個人情報の管理を「按配」する制度設計とは?実態を見つめ慎重に考えなければなりません。