坪内稔典「季語集」の「夏」から、印象に残った句などをまとめてみました。


・ブルーヘイズ

 ブルーヘイズは青い靄。樹木の葉が発散するテルペンが微細な粒子になったもの。波長の長い太陽光を反射する。青い山脈を出現させる。テルペンは香の成分でもある。森林浴は、林野庁が提唱したもの。
 ジャマイカのコーヒー「ブルーマウンテン」は、ブルーヘイズが山々を青く包むことに因む名前。

・青梅雨

 梅雨は、梅の実が熟れる時期の雨。青梅雨は、青葉の頃に降る。

・炎天

 生きてゐてがらんどうなり炎天下 中村苑子

・浴衣

 浴衣着てマクドナルドで待ち合わす 黛 まどか

・花火

 花火はかつて病魔を払う呪(まじな)い。両国の花火も、徳川吉宗がコレラ退散を願って始めたもの。

・蛍

 ゆるやかに着てひとと会う蛍の夜 桂 信子

・鮎

 鮎は河で生まれ、海で育ち、河に戻る可塑魚。

・薔薇

 百本の薔薇の花束くださいな 土谷 倫

・睡蓮

 睡蓮へちょっと寄りましょキスしましょ 坪内稔典

・夏みかん

 夏みかんは、山口県に漂着した種が育ったものらしい。

 夏みかん胸に小川がありますか 中原幸子

・桑の実

 桑の実や擦り傷絶えぬ膝小僧 上田五千石

・枇杷

 枇杷の実のお尻宇宙の涯(はて)は此処(ここ) 正木ゆう子

・トマト

 トマトの原産地は南米のアンデス山脈。

 季節感は自然界にあるものというより、私たちの考え方にある。トマトを夏のものと断定するとき、季節感が生じる。