「知覚・認知心理学」 放送大学
2023年に新設された科目。目新しいので視聴してみました。時間があるので放送大学で新しい知識を得るのが楽しみになっています。
学際の新分野というのは、周辺分野の知見の寄せ集めで浅い … というだけで、何の新しさもない?おい!大丈夫か?とは言え、参考になる部分もあって助かりました。ありがとうございました。
学際の新分野というのは、周辺分野の知見の寄せ集めで浅い … というだけで、何の新しさもない?おい!大丈夫か?とは言え、参考になる部分もあって助かりました。ありがとうございました。
この講座で感動したこと。それは「薬師神」さんという講師のお名前。初めてお聞きするお名前でした。
そうそう、この講座を視聴して少しだけ考え方を変えたのが「無意識」という概念。「無意識」という妙な響きを嫌って、「無自覚」とか「前意識」などの言葉を使い分けてきましたが、単純に「無意識」でいいのではないか、と思い始めています。神経活動の99%以上が「無意識」。神経活動にとって「意識」される方が特異なことなので、「無意識」という言葉は倒錯した表現であることは確かです。それでも「意識されない」という意味では「無意識」は、それ以外では表せないものでもあるので、し方ないかなっと …。
以下はこの講座の要約です。
■ 感覚し、知覚し、認知する
「意志的に考える」というのは、氷山の一角。色や形を判断するのは無意識。そして、知覚は解釈であり、推論の結果である。「無意識が世界を形作り、意識が世界を語る」。
*「無意識が世界を形作り、意識が世界を語る」は名言でしたね!
視覚像は脳が創り出したもの。記憶は、「再生される」ではなく「形成される」もの。
情報の伝搬。神経細胞の軸索の中はとても速く伝わり、ランヴィエ絞輪の活動電位によって跳躍伝導する。減衰を防ぎ、増幅して伝わっていく。
視覚は、周辺視では複数の受容器の信号を集約し、中心視では受容器と神経は一対一で繋がっている。周辺視では解像度は下がっても感度を上げている。
■ 記憶の仕組み
短期(作業)記憶は、前頭葉にある。記憶の回路は、[海馬→脳弓→乳頭体→視床前核→帯状回→海馬]。
視床を介して大脳基底核の運動〜学習の回路と接続する。意識情報処理は、自動処理化され小脳に移行する。
認知〜学習と記憶の神経メカニズムは、神経の活動パタン=海馬歯状回のパタンが大脳に移行するものと考えられている。
■ 推論
演繹法は、結論は前提に内包され、新しい知識は生み出されない。帰納法は、現実により新たな仮説が導かれる。結論には不確実性が伴う。
科学は、[観察→モデル(仮説)→検証→仮説更新]。ベイズ規則による確率(信念)更新。
■ 問題解決
手続きによる(再生産)解決では、創造はできない。
熟達化とは、(意識された)知識から手続き/パタン認識へ移行(手続化)すること。
■ 意思決定
・要素
選択肢と結果(効用/価値)と尤度(信念/確率) … 決定木で表現される
・合理判断の前提
順序がある A>B>C
推移性がある A>B B>C ならば A>B>C
不変性がある A>B ならば A'>B'
独立性がある A+B>B+C ならば A>C
・記述理論
決定者の状況/要因が影響する
表現が判断を左右する
・プロスペクト(見込)理論
価値関数
確率加重関数
参照点
■ 言語
チンパンジーの発声システムでは、音声言語を身につけることはできない。
・言語産出
無意識の思考=内的表象が生成される。内的表象を言語に変換する。
■ 感情
・次元モデル
[覚醒⇔非覚醒 × 快⇔不快] 神経生理で裏付けられている
・神経基盤
大脳辺縁系 偏桃体を含むヤコブレフ回路 偏桃体⇔前頭前皮質
・判断への影響
ポジティブな気分は、1)リスク回避傾向になる、2)直感の判断を増やす
楽しい
〇 |
直感的−−−+−−−分析的
| 〇
悲しい
■ 発達
・神経ネットワーク
シナプスの数は、生後8〜12ヶ月がピーク 成人の1.5倍
シナプスの刈込は、動物の脳で普遍に見られる
・シナプスの刈込と知覚の熟達化
生後9ヶ月以上では、猿の顔は弁別できなくなる
生後9ヶ月以上では、RとLを区別できなくなる
9ヶ月未満ではあらゆる音を弁別できる
お母さんの声に反応して、言語野の前部と後部の結合が強まる
R-STGは個人の声の同定に関与している
・心の理論
他者の立場になって他社の心の状態をシュミレーションするミラーニューロン