以前に紹介した、顧客価値の分析と設計の文献(「リピーターをつかむ経営」)の紹介第二弾です。
この本に掲載されている、キャタピラーのオーストラリアのディラーであるウェストトラック社のウォーカー社長のやり方は見事の一言です。
まず、ウォーカー氏は、「販売、部品、サービスの事業部門に分れていた。この3部門は顧客が共通していたため、より顧客を志向する組織にすべく、一つの事業部門として扱うことに決めた」のです。この記述は、著者達の今猿集団を待つまでも無く、氏はそれをやろうとしていたことを物語っています。
「鉱山請負採掘業の価値定義では価格の重要度が高いのに対し、自社鉱山採掘業では価格よりもCQIが重要と見做されていた」と市場の違いによる価値の差に注目し、また「業界が成熟していくと、ブランドによる差よりもディラーによる差の方が大きくなる」ことを確認します。「価値の差別化は、販売会社の段階で発生する」のです。
「CV分析を利用して現行の価値提案と、既存の市場価値機会を把握する」の段階では、この会社は「修理期間中の顧客への修理状況の報告、故障の少なさ、生産性に弱みがあり、ダウンタイム(中断時間)の少なさ、機器の品質、部品、サービス料金は強みであった」ことを認識します。
そして、「価値目標とパフォーマンス目標を把握する」段階では、「修理診断と修理内容予測を改善する」「修理スピード、修理納期の正確さを改善する」などを業務改善課題と定め、具体的な行動計画を推進していきます。
今までの、「顧客の観点から価値経路を吟味しておらず、各プロセスを別々に検討していた」「仕事が、自己中心的なやり方で進められていた」ことを、現場の従業員に認識させた上で、氏は、「従業員が市場の価値要因を理解し、価値提供を高めることに関心を持つようにしたかった」ようです。
「業務の第一線にいる従業員チームで構成する職務横断的なチームが価値経路分析によって把握した要因に基づいて、コンポーネント修理所要時間を改善するための行動計画を策定した」そして、まず、「ウェストトラックが主体的に連絡をとって、顧客に修理の進捗状況を定期的に知らせるようにした」といいます。
現在、「価値経路マップは、従業員訓練に使用されている」そうで、今や「品質マニュアルはマップに置き換えられている」ようです。
CV調査は日常的に実施されており、「全体の取引から事例をサンプリングして、毎日いずれかの顧客にコンタクトするよう設計されている」「10段階の尺度で8以下の評点の顧客について即時フィードバックされ(赤信号)、直ちに改善策を講じることができる」となっています。
こういう会社に日本は打ちのめされていると、リアリティを以て伝わってくる事例です。CV研究がアメリカで始まったきっかけは、80年代の日本車のシェア拡大だと言われています。学ぶ姿勢を持ち、事実に向き合う経営者に率いられた会社は、日本企業を抜き去って遥か前を歩いています。
最後に、日本の某インターネット・プロバイダーの顧客価値マップ(顧客維持マップ)をご紹介しましょう。さもありなんという地図にはなっております。
顧客価値の解析と設計
この本に掲載されている、キャタピラーのオーストラリアのディラーであるウェストトラック社のウォーカー社長のやり方は見事の一言です。
まず、ウォーカー氏は、「販売、部品、サービスの事業部門に分れていた。この3部門は顧客が共通していたため、より顧客を志向する組織にすべく、一つの事業部門として扱うことに決めた」のです。この記述は、著者達の今猿集団を待つまでも無く、氏はそれをやろうとしていたことを物語っています。
「鉱山請負採掘業の価値定義では価格の重要度が高いのに対し、自社鉱山採掘業では価格よりもCQIが重要と見做されていた」と市場の違いによる価値の差に注目し、また「業界が成熟していくと、ブランドによる差よりもディラーによる差の方が大きくなる」ことを確認します。「価値の差別化は、販売会社の段階で発生する」のです。
「CV分析を利用して現行の価値提案と、既存の市場価値機会を把握する」の段階では、この会社は「修理期間中の顧客への修理状況の報告、故障の少なさ、生産性に弱みがあり、ダウンタイム(中断時間)の少なさ、機器の品質、部品、サービス料金は強みであった」ことを認識します。
そして、「価値目標とパフォーマンス目標を把握する」段階では、「修理診断と修理内容予測を改善する」「修理スピード、修理納期の正確さを改善する」などを業務改善課題と定め、具体的な行動計画を推進していきます。
今までの、「顧客の観点から価値経路を吟味しておらず、各プロセスを別々に検討していた」「仕事が、自己中心的なやり方で進められていた」ことを、現場の従業員に認識させた上で、氏は、「従業員が市場の価値要因を理解し、価値提供を高めることに関心を持つようにしたかった」ようです。
「業務の第一線にいる従業員チームで構成する職務横断的なチームが価値経路分析によって把握した要因に基づいて、コンポーネント修理所要時間を改善するための行動計画を策定した」そして、まず、「ウェストトラックが主体的に連絡をとって、顧客に修理の進捗状況を定期的に知らせるようにした」といいます。
現在、「価値経路マップは、従業員訓練に使用されている」そうで、今や「品質マニュアルはマップに置き換えられている」ようです。
CV調査は日常的に実施されており、「全体の取引から事例をサンプリングして、毎日いずれかの顧客にコンタクトするよう設計されている」「10段階の尺度で8以下の評点の顧客について即時フィードバックされ(赤信号)、直ちに改善策を講じることができる」となっています。
こういう会社に日本は打ちのめされていると、リアリティを以て伝わってくる事例です。CV研究がアメリカで始まったきっかけは、80年代の日本車のシェア拡大だと言われています。学ぶ姿勢を持ち、事実に向き合う経営者に率いられた会社は、日本企業を抜き去って遥か前を歩いています。
最後に、日本の某インターネット・プロバイダーの顧客価値マップ(顧客維持マップ)をご紹介しましょう。さもありなんという地図にはなっております。
顧客価値の解析と設計