「見てわかるDNAのしくみ」 工藤光子/中村桂子 2007年 ブルーバックス
ブルーバックスのDNAの本で、DVDが付いた「見る」本が出てたんですね。何故か見落としてました。「目で見る」ことに拘った「作品」。新しい視野が開けました。ありがとうございました !(^^)! 以下はこの本の要約と引用です。といっても「見る」部分は引用でできませんので、この本の良さは全く伝わりません。悪しからず!
■ はじめに
これは「DNA」そのものの本です。DNAのダイナミックな動きを映像にしました。
■ ダイジェスト編
映像を見ていただく。この作品はそれに尽きます。
DNAは3つのことをしています。1)蛋白質を作る指令を出す、2)自分自身を複製する、3)少しずつ変わる。「変わる」の細部はよくわかっていません。
DNAの傷を治すメカニズム。どんな生物でも修復のための酵素を50種類以上持っています。
多様なゲノムを生み出す工夫。その仕組みの詳細はまだわかっていません。
蛋白質を作る。DNAがほどける。その目印をて足がかりに、RNAポリメラーゼ(RNA合成酵素)が結合し、DNAの二重螺旋をほどきながらその情報をコピーしてmRNAを合成します(転写)。
mRNAはさらに加工されます。完成したmRNAは、核膜にある穴から細胞質へと出て行きます。リボゾームとrRNAの複合体が結合します。tRNAがmRNAの塩基情報をアミノ酸配の並びへと変換します。1つのアミノ酸に対応する3つの塩基をコドンと呼びます。
tRNAにはmRNAに各コドンと対を作れるように塩基が並んだ領域=アンチコドンがあります。各アンチコドンに対応したアミノ酸がアミノアシル化酵素によって結合され、アミノ酸を結合したアミノアシルtRNAが完成します。
アミノアシルtRNAが、コドンに対応するアミノ酸をリボゾームに運び、アミノ酸を結合します(翻訳)。一本のmRNAにはたくさんのリボゾームが結合して、同時に何本ものアミノ酸(ペプチド)の鎖が合成されます。
アミノ酸の鎖に立体構造を与えるのは、シャペロン(社交場に出る未婚女性の介添役)。機能を持った蛋白質が完成します。
DNAの塩基はAとT、GとCがペアになっています。
糖にリン酸基が結合している部分を5'端、水素基が結合している部分を3'端と言います。塩基配列を元に新しい鎖を合成するDNAポリメラーゼは、5'端から3'端の方向に合成します。
DNAヘリカーゼの進行方向に沿って合成が行われる上側の鎖を「リーディング鎖」、ループを作りながら不連続に合成が進む下側の鎖を「ラギング鎖」と言います。
原核生物のゲノムDNAは環状。真核生物のゲノムDNAは線状です。線状DNAには複製開始点が幾つもあり、それぞれの複製開始点から両方向に向かって複製が行われます。
DNAは細胞分裂の際、コンパクトな染色体に変化します。ダウン症候群は、染色体不分離の結果21番染色体を3本受け継いだために引き起こされます。ターナー症候群は、性染色体であるX染色体を1本しか持たないことによる疾患です。
性状な状態でも、たDNAは1日1細胞当り、5〜50万ヶ所に傷が入ります。分裂停止やアポトーシス誘導に関わり遺伝子に傷が入って機能しなくなると、無限の増殖を開始する場合があります。
人の細胞には23対の染色体がありますから、染色体の分配のし方は2^23=840万通り。卵と精子を併せて受精卵のパターンは2^23×2^23で70兆を超えます。
■ あとがき
DNAは、地球上の生物が全て先祖を同じくする仲間であることを教えてくれました。