「数学の本質をさぐる1 集合・関係・写像・代数系演算・位相・測度」
石谷茂 2021年 現代数学社
理論物理学を探求する上で不可欠な技術が現代数学。その現代数学を易しく解説した、それでいて本質を外さない評価の高い教科書です。まだまだ一生懸命勉強させて貰います。ありがとうございます。
以下は、私の最も関心の高い、集合論の中でも「商集合」の部分と「測度」の概略を、防磁録としてまとめたものです。さあ、もっと勉強しなくっちゃ!
こういうのをブログにアップすべきでないという方もいらっしゃいますが、いつでもどこでも自分のブログを開いて検索すれば、読んだ文献のエッセンスを引き出すことができます。こんな便利な仕組みはありません。という訳で「他人の迷惑を顧みず」UPさせて頂きます(意外?なことに、大学生が私の文献ノートを参照しています。年寄りの手習いのようなこの文献ノートをです。近頃の大学生さん、大丈夫?)。
■ 商集合
数学における関係の基本は、同値関係と順序関係である。同値関係とは、反射律と対称律と推移律を全てみたす関係のこと。
同値関係x≡y(mod5)を考え、同値なものを集める。C0={0,5,10,15,…}C1{1,6,11,16,…}… C4{4,9,14,19,…}.このように集合Eを分かることを類別という。この部分集合を類(クラス)と呼ぶ。
この類を元とする集合{C0, … ,C4}を考えることができる。この集合を、Eをmod5の合同で割った商集合(商)という。
■ 測度
有限の区間には「長さ」がある。
集合Aに対する量をm(A)で表したとき。共通要素の無い2つの集合AとBについて、等式 m(A∪B)=m(A)+m(B) が成り立つとき、量の加法性があるという<外延量>。食塩水の濃度のような量では、加法性が成り立たず、不等式 m(A∪B)≦m(A)+m(B) が成り立つ<内包量>。
長さを実数の任意の集合にも定義しよう。閉区間{a,b}の長さ(測度)は b−a である。
Rの部分集合である開区間をIで表し、Iの長さを|I|で表すと I=(a,b)のとき|I|=b−a と定める。Rの任意の部分集合Aに対して、Aを被覆する開区間列を作る。この区間列に対して、区間の長さの和を考える。その下限ををAの外測度といい -mAで表す。
外測度は、一般には加法性を満たさない。外測度と双対な定義によって内測度を定義し、外測度と内測度が一致するときに、その値をAの測度とすることが考えられる。
Rの部分集合Aに対し、どんな部分集合Xを選んでも -mX=-m(X∩A)+-m(X∩Ac) が成り立つとき、Aは可測であるいい、これをAの測度(mA)という。
μが次の条件をみたすとき、μを有限加法測度(加法測度)という。
1) A∈m ならば 0≦μA≦+∞
2) A=φ ならば μA=0
3) A,B∈m , A∩B=φ ならば μ(A∪B)=μA+μB