「アイルランドの神話と民話」 ジェレマイア・カーティン 2004年 彩流社
アイルランド≒ケルトの伝承を調べたくて図書館で借りました。残念ながら、読みたかった「鹿の乙女ニアヴ」の話しは載っていませんでした。 以下は、「訳者あとがき」と「鹿の乙女ニアヴ」の概要です。日本人は「浦島太郎」伝説を思い起こしますが、このての話しは世界中にあります。
■ 訳者あとがき
アイルランドは、ケルトの末裔。ケルトは中欧から西部地方に繫栄した。その後、古代ローマ帝国が版図を拡大。衝突が生じた。ジュリアス・シーザーとヴァルキングトリスは、フランスのリオン付近で激突した。
今日、ケルト系の人々が住んでいるのは、アイルランド、ウェールズ、スコットランドの僻地、フランスのブルターニュ、ピレネー山脈の僻地。
アイルランドの説話の登場人物は、絶対者ではない。人間も自然の一部。二元論ではない。
ギリシャ・ローマの世界では全能の神が存在する。アイルランド説話では、人間はみな同じ背丈。社会は混沌としている。ホメロスの世界では、世界は現世と来世の二元論だが、アイルランドの場合は一元論。
ファニーアンは、古代アイルランドの国王フィン・マックールに親衛団。アイルランド独立運動の秘密結社はその名を名乗った。
*オイシンと鹿の乙女ニアヴ
この物語は、アイルランド神話の英雄伝説「フィアナ物語群」の中でもっともよく知られた一篇。主人公は勇士 オイシンは、伝説の英雄フィン・マックールの息子です。
ある日、フィアナの狩人たちが森で狩りをしていると、美しい白鹿が現れます。鹿を追うと、彼らの目の前でその鹿が黄金の髪をもつ美女ニアヴに変わります。
ニアヴは「海の彼方の永遠の国から来た妖精の娘で、オイシンに一目惚れしたと言います。ニアヴはオイシンを黄金の馬に乗せて永遠の若さと幸福の国ティル・ナ・ノグへ連れて行きます。そこで二人は愛し合い、長い時を過ごしますが、オイシンはやがて故郷が恋しくなります。
ニアヴは、「地上に戻るなら、決して馬から降りてはいけない」と厳しく言い残して送り出します。オイシンがアイルランドに戻ると、何百年もの時が経っており、フィアナの仲間たちは誰もいません。人々を助けようとして馬から落ちてしまった瞬間、たちまち老いが襲い、白骨の老人となってしまうのです。
尚、ユグドラシル(世界樹)の枝葉を食べる四頭の鹿が、北欧神話に登場します。彼らは世界のバランスを象徴し、生命の循環に関わる存在です。北欧神話でも、鹿は神聖なものとして現れます。
