第2回 Beyond AI 研究推進機構 国際シンポジウム

 東京大学がソフトバンクの協力で始めた研究機構。人工知能研究としてのレベルは高くは無いが、日本の人工知能研究の現状を知るために視聴してみました。

 私は、人工知能は、人間を超えた知能を発揮すると考えています。なぜなら、人間より非力なパワーショベルなどありえない。それと同じように、人間より頭の悪いコンピュータなんて意味がないからです。但し、コンピュータは、人間を代替しません。だって、働くことは機械に任せて「遊ぶ」のは人間だからです。その人間を機械が代替するなんて有り得ません。問題はその「遊び」です。神経科学上で明確なように、「中毒になる」ようなものは「暇つぶし」であって「遊び」ではありません。ゲームやギャンブルやお酒や … そういうものは、心の空虚を埋めるものだから、中毒になるんです。つまり、大部分の人々が遊びだと思っているのは「暇潰し」に過ぎません。血湧き肉踊る本物の「遊び」は中毒になんかなりません。そういう「遊び」を持つ人かどうか。人間ならわではの存在が問われる時代が、すぐそこまで(でもないのですが)来ています。

 以下はこの講演の要約です。私の聞き違いが勘違いがありましたらご容赦下さい。また、*印は私の見解です。


《深層学習の10年と今後の展望》
東京大学総長 藤井輝夫
ソフトバンク株式会社代表取締役 宮川潤一

 現在の機械学習は、画像認識や音声認識=個々の分野でのもの。今後は全体最適を実現するものになっていく。脳科学や物理学との人工知能の連携による発展も期待される。

 機械学習の発展が生み出した解決すべき課題の一つがエネルギー問題。機械学習の社会実装によって、電力消費が3倍に増える可能性があると言われる。エッジのデバイスは都市=東京と大阪に集中している。データ処理の地方分散も必要。量子コンピュータを使ってエネルギーの最適化を行う。

 人工知能人材の確保も課題。企業では人材育成は充分ではない。Z世代にそのスキルを持つ人材がいる。大学教育に期待している。倫理問題も議論の必要がある。


《AIの現在と未来》
Google ソフトウェアエンジニア フランソワ・ショレ
東京大学大学院教授 松尾豊
東京大学 国際高等研究所特任教授 長井志江

 機械学習で絵を描いたり詩を書くことができるようになった。一方で、人工知能研究の第一人者でも、人工知能に対する批判が出てきた。今コンピュータに何が出来るのか?我々は何をすべきかのか?

 一般の方々は、SFによってAIをイメージしている。人間にとって代わったり、人間が失業したり…。

 PRGによるコグニティブオートメーション(自動認識)や機械学習には、沢山のデータが必要。コンピュータ処理の延長上のもので、知能ではない(生命体ではない)。コンピュータに真の自律性は無い。人にとって代わることはない。

 機械学習は、予測可能な機械として機能している。予測と感覚(評価)によって制御している。予測と感覚の精度を調整することによって、ロボットは絵を描くことができる。その限りでは、人間の子供と同様なプロセスである。

 ロボットが部屋を整理し掃除をする。千切のキャベツを一定量ピッキングする。自動化したショベルや掘削機が実現されている。ロボット(ロボテックス)は、「ある限られた行動」を人間と同じようにできる。但し、膨大なコストがかかる。新しい状況に柔軟に対応することもできない。ダイナミックなシステムではない。深層学習は人間の脳を模倣していない。

 機械学習は(周辺環境の)感覚を持っていない。エージェントに身体は必要か?感覚系動作系の知能への影響は?他者からのフィードバックを受けることもできていない。

 自然言語を扱うDPT3は過大評価されている。言語を理解していない。環境にアクセスできない。統計モデルに過ぎない。可能性の確率を計算しているだけだ。

 ロボテクスの身体の認知はどうなるのか?人間と同じようなものにはならない。人間の発達プロセスを真似ることはできるかもしれないが…。ほぼ不可能ではないかと思われる。

 人間の脳を確率で表現できるか?人間の脳には高い柔軟性がある。機械にできるかは不明。

 人工知能に創造的な発明はできるか?予測符号化で可能か?システムを評価し、価値や意味を理解することが課題になる。

 人工知能は自律性を獲得できるか?人間の意思決定は、報酬系が重要。生物には目的が存在する。人工知能の目標設定は、人間が与えるもの。自律ではない。生存にとっては体内の感覚も重要。人工知能ではどのように応用されるのか?
*生物が真に自律系なのか?は、熱力学の第二法則をどう解釈するかによって見解が異なるものと思われます。

 深層学習で描かれた絵画は、人間にとっては価値がある。人間がそれを使って創造することもできる。自閉症の人はピカソの絵と同じように世界が見えている。「見たように描く」のか?も重要な問題。人工知能は、人間の精神を互換はするが…。

 コロナ禍で機械学習の活用は広がったし、今後も広がる。Eコマースにも機械学習は使われている。


《AIは科学をどう変えるか》
フラットアイアン研究所・計算天体物理学センター シャーリー・ホー

 天体物留学の「関数同定問題」は解けないのでDPで計算する。グラフニューラルネットワークによる深層学習(GNN-DP)=ブラックボックスからどう学ぶか。数式から学ぶことはできるか?

 相互作用ネットワークを、惑星の相互作用に応用。アウトプットをインプットとして使う。少なくとも高い予測精度の計算結果を出力している。


《深層学習と先端科学》
フラットアイアン研究所・計算天体物理学センター シャーリー・ホー
東京大学大学院教授 齊藤英治
京都大学大学院教授 橋本幸士
東京大学大学院教授 沙川貴大
東京大学 国際高等研究所教授 村山斉

 人工知能に物理が出来るのか?過去のデータからの予測以上のことをするか?は不明。人工知能は、データの背景にある論理を理解するのか?予測できるという意味では、学習できる。人工知能が見つけた経験則から人間が理論を作ることは可能ではないか。

 理解するとはどういうことか?例えば、ファインマンの言うように、量子力学は直観で理解できない。量子力学は数式からしか理解できない。

 理解するための定規(モノサシ)を作らなければならない。モノサシを作るために人工知能を使う。人工知能が見つけたモノサシで世界を見る。例えば、調和振動子を理解する。量子論も調和振動子で説明できれば理解したことになる。理解するのは人間。人工知能は理解はしない。

 アルファ―碁は人間より強いが、人間には理解できない。ゲームを設定したのは人間。だからシンギュラリティは訪れない?機械の予測力を人間は利用するだろう。説明はしなくても。

 人間の脳は物質。だから機械にも知能を模倣ができる。但し、人工知能には囲碁を楽しむことはできない。

 人工知能は感情を持たないのか?脳神経細胞は、環境の中の相互作用によって動いている。人工知能も相互作用によって感情を持つのか?

 人工知能の手助けで、人間がより深く理解できる可能性がある。人工知能は道具。量子重力の解明には「新しい概念」が必要になる。直観に頼らない人工知能なら、新しい概念をもたらしてくれるかも知れない。

 量子コンピュータはノイズを発生させる。真の理解は可能か?初期宇宙の量子揺らぎによって天体の動きは全て説明できる?。宇宙の始まりの物理に辿り着けるのか?ブラックホールは宇宙最速の量子コンピュータ。ブラックホールをシュミレーションして宇宙の誕生に迫れる?

 学習データと違う変数を加えることで、趣の違う絵や詩を作ることができる。それは創造性と言えるのか?

 人工知能は解を見つけることができる。人工知能は人間と一緒に仕事をすることができる。


《閉会の辞》
東京大学 Beyond AI 研究推進機構長 萩谷昌己

 オートメーションからインテリジェンスへ。機械学習から人工知能へ。技術は進化している。